小さな弟子の嫉妬心


「随分暇そうだね、子どものお守りをするなんて」

パッと頭から雲雀は手を離し、憎まれ口をたたく姿を骸は振り返りながら聞いた。
珍しく学ラン姿ではなく私服でおり、不思議に感じながら骸は口を開く。

「そういう貴方も暇そうではないですか
いつもの一張羅はどうしたんです?」

「今日は休日だからね
僕がいつも制服着ていると思ったら大間違いだよ」

「…」

「おや、どうしましたフラン」

2人の会話を聞いていたフランはジッと雲雀を見ていることに骸が気付いて声を掛ける。
すると、雲雀を見つめたままフランは骸にピタリとくっつき、その姿を見た雲雀はピシッと動きが固まった。

「…あんたが雲雀恭弥ですかー」

ジトリとした瞳で見られながら問われた雲雀は瞳を細め腕を組んでフランを見下ろした。

「…だったらなに?」

「うちのししょーが随分とお世話になってるようでー」

「お世話…」

"君、この小動物になにか言ったの?"

フランの言葉から雲雀がチラリと骸へと目をやり、言いたげな表情を向ける。
骸は"言ってません"と目で訴えながらふるふると顔を横に振り、フランの頭をポンッと撫でた。

「お世話だなんて、なぜそのような事を?」

「だってししょー、しばらく前まではこの鳥の巣頭さんにしつこくされてたんでしょー?
なら、弟子であるみーが挨拶をするのが筋じゃないですかー?」

「クハッ!」

「…」

雲雀の頭を指差しながら言うフランに思わず骸は噴き出してしまうも、雲雀の怒りのオーラを感じ"こほん"と咳払いをした。

「…こら、そう言うことは言うものじゃないですよ」

「それにー」

「?」

フランは雲雀と骸を交互に見た後、雲雀に少し近寄ってすんすんと匂いを嗅ぎ始める。

「ねぇ、さっきからなんなの
咬み殺してもいい?」

「やめてください、大事な僕の弟子に」

「…んー…やっぱりー」

「…?なにがです?」

ぽつりと呟くフランを見て骸は首を傾げながら顔を覗き込んだ。










「この人から、ししょーと同じ匂いがするんですよ
帰ってこない時の匂いと同じ匂いがー」

「…え?」










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