小さな弟子の嫉妬心
「んっふふー」
「全く、呑気なものだ」
コンビニ帰りにアイスが待ちきれなくなったフランに連れられ、骸は近くの公園のベンチに座りながら隣で嬉しそうにアイスを眺めているフランを見た。
「アジトに帰るまで待てないんですか?」
「アイスは買ってすぐ食べるべし、ですよー」
「そんな事、聞いたことないですよ」
「それに、犬さん達に内緒って言ったのはししょーじゃないですかー
それなら証拠隠滅しておかないと」
「そういう悪知恵だけはよく働く」
「まぁー、ししょーがししょーですからねー
こればかりは仕方ありませんー」
「…ふふっ」
アイスをスプーンで一口掬い、パクッと頬張る様子に骸は思わず表情が緩んでしまう。
フランと一緒に、このようにゆっくり過ごすのも久しぶりな気がしますね…。
この前は2週間も雲雀恭弥の近くにいましたし。
彼と共にいたのは1日のみでしたが。
「…たまには、こういう日があってもいいのかもしれない」
「なにか言いましたかー?」
心の中で思っていたことが口から出ていたらしく、フランは不思議そうに骸を見上げた。
「クフフ、なにもありませんよ」
「そうですかー?
てっきり、なにもない日常の良さを噛み締めて、この平凡な日常を送るのも悪くない、みたいな事を思ってるのかと思いましたー」
「…」
骸の考えを見透かしたかのように言うフランの言葉に骸は何も言わずにジッと見ていると、コテンとフランは首を傾げた。
「ししょーはアイス食べないんですかー?」
「僕の分は買っていません」
「え、もしやアイスを2つ買えないほど貧乏」
「失礼な、違いますよ
今は別にアイスを食べたい気分じゃありませんでしたし」
「あー、なるほどー」
フランは納得したように声を漏らした後、骸とアイスを交互に見てスプーンでアイスを掬うと骸の口元へとズイッと近付ける。
「え、なんです?」
「みーだけ食べているのはなんか気が引けるんで、みーのアイス分けてあげますよ
感謝してくださーい」
「…」
元は僕が買ったものなのに、なんて偉そうな…。
「…まぁ、頂けるものは頂きますが」
そう言いながらスプーンを掴んでいるフランの手首を掴み、顔を近づけてアイスを食べようとした。
ガシッ。
「ッ?」
瞬間、自分の頭が何者かに掴まれてうまく動けなくなる。
骸は何事かと思っていると、目の前にいるフランが自分の後ろをジッと見ていることが分かった。
「フラ」
「ねぇ」
フランに背後に誰がいるのか聞こうとした瞬間、聞き覚えのある声が背後から聞こえピクッと肩を跳ねさせる。
…まさか。
「君、なにしてるの?」
「…雲雀恭弥」
「…」
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