小さな弟子の嫉妬心
さて、どうしたものか。
千種が部屋を去った後、フランの頭を撫でながら考える。
フランは依然として動く様子はない。
"寂しかったんですよ"
千種の先程の言葉が頭を過る。
…僕がいなくて寂しい、か…。
この子がそんな事を思うとは…なんというか…意外でしたね。
普段は小生意気な言動が多いですが、まだ小さい。
やはり、中身は年相応ということか。
他のメンバーとは付き合いが長いですから僕の事をわかっている。
だから、僕がほんの数日、数週間いなくなった所で"いつもの事か"と思うだけだろう。
しかし、この子は違う。
まだほんの2ヶ月ほど。
僕の事をわかっているはずもない。
それに、僕もこの子の事をわかっていない。
「…フラン」
名前を呼んでみるも返事はない。
そこまで怒っているのか…。
「少し、話をしましょう?」
「…」
「…あの」
「…」
「…」
こいつ、頑なに話すことを拒否している…。
「フラン、いい加減に話を」
そう言いながらフランへと顔を近づけてみる。
「すぴー」
聞こえてくる寝息。
骸は"まさか"と思いながらフランの顔をそっと動かして顔をのぞき込んだ。
すると鼻提灯を出し、涎を垂らしながら眠っているのが分かった。
「…寝ている…」
「ふがッ」
口元をひくつかせながら呟くと鼻提灯がパチンッと割れてフランの瞳がゆっくりと開かれ眠たげにごしごしと目を擦りだした。
そこで、骸の存在に気付いたのかゆっくりと上体を起こす。
「…んぁ…あー…ししょー…おはようございますー…」
「…ま…」
「…え、なんですかー?」
「紛らわしい…ッ!」
シャッシャッシャッ。
「んぇ、ぁ、ちょっとししょー
いきなり被り物すり下ろすのやめてくださーい」
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