自由気ままはお互い様
「…」
骸はジッと雲雀を見つめながら問いかけるも、雲雀は何も話さずに骸を見つめ返している。
「不思議に思ってたんですよ
貴方がなぜ、僕に好意を持つのかを
初対面なんて最悪だったでしょう?
僕に負かされたんですから」
「ここで咬み殺してもいいんだけど?」
悪気なく言った言葉に雲雀はカチンときたのか黒いオーラを醸し出しながら言う。
「ですが本当のことでしょう?
今さらそこでキレないでください」
「…それで?」
雲雀は小さく息を漏らすと続けるようにと促した。
「…とにかく、なぜ好意を持たれたのかが不思議なんですよ
出会いは最悪ですし、その後僕は監獄の中にずっといて…それなのに僕に好意を持っている意味が」
「…」
コツンと壁に頭を軽く当てながら語る骸を雲雀はふと視線を逸らした。
「…君、意外に恋愛の話とかするんだね」
「いや…当事者ですので気になりますし」
「…別に、大した理由はないよ」
雲雀は考えるように顎に手を当てる仕草をする。
「君を好きになった理由、ね…」
そのまま雲雀は口を閉ざして考え込んでしまった。
え、そんな考え込むことですか?
ただ単に、好きになった理由を言えばいいだけの話では?
会話はなく、静かな時間が流れる。
「…あの」
「…好きになった理由は」
痺れを切らした骸が声をかけようとすると、雲雀は被せるように口を開いた。
「ないよ」
「…はい?」
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