自由気ままはお互い様


…なぜこんな事に…。

連れられるがまま浴室の中へと入れられ、湯の張った浴槽の中で骸は頭の中で考えた。

彼に連れられるがままにこのような状態になってしまいましたが…。

目の前で自分と同じように湯に浸かっている雲雀へと目を向ける。

「なに?」

視線に気付いたのか、雲雀は骸へと目をやると"なにも…"と言いながら骸は視線を外した。 

いつも情事の後お風呂をお借りしますが、一緒に入るのは初めてですね…。
そもそも、彼と体を重ねること自体あり得ない…と思っていたのですが…。 










…最悪なことに…身体の相性はいいんですよね…まだ2回ですけど。










骸は以前の行為を思い出して深いため息をついた。

しかも、なんなんですか?
普段はツンとしているのに致している時はやたら優しいし、僕を気遣うような発言が多いですし。

…それになにより…。










"愛してる"










「…」

「さっきからなんなの?
人の事目の敵のように見てきて」

「…なにも」

顔を半分程湯船に浸からせ、ジトリとした目つきで雲雀の言葉に返答をする。

本当に、彼の言動には理解に苦しむ。
そもそも、なぜ僕の事が好きなのかも分からない…。

「…そういえば」

「?」

そうだ。僕は知らない。










「貴方はなぜ、僕の事が好きなんです?」










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