自分勝手過ぎるので


夜が更けた頃、ヒバードはぱちりと瞳を開けて雲雀の顔を覗き込んだ。
雲雀は深い眠りについているのか、"すぅ"と小さな寝息が聞こえてくる。

「…まったく」

ヒバードの口から声が漏れ出る。
霧が辺りに立ち込め、ヒバードを包んでいくとシルエットが人の形へと変わっていき、霧が晴れると骸の姿にとなっていた。

「人の事を好きだのと言っている割には、気付かないものなんですねぇ」

雲雀の隣へと座り、優しく前髪を撫でながら骸は呟く。

姿を消した1週間前。
なんだかんだと会いに来なかった雲雀を懲らしめてやろうと骸は、雲雀が何をしているのかとヒバードに姿を変えて様子を見ていた。

本当に委員会の仕事をしていたとは予想外でしたね。
てっきり、強いものを求めて戦いに明け暮れているのかと…。
にしても、2週間も放置とは。
しかもこんなに近くにいるのに気付かないなんて相当鈍くないですか?











"…君が僕のことを恋しくなるようにしてあげる"










「…別に、そういう意味で近くに居たわけではありませんが…」

ふと2週間前の出来事を思い出し、軽く自分の考えを振り払うように手で払う仕草をする。

さて、もう彼の行動は見学しましたしそろそろ帰りましょうか。
千種やフラン達も心配していたようですし。

…まぁ…。

骸は眠っている雲雀の頬に触れ、体温を感じ取りながら微笑んだ。










「…僕の事を探している姿は、少し意外で…面白いものを見せてもらえましたかね」










パシッ。









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