自分勝手過ぎるので


いない。

1日中探し、気付けば夕方。
雲雀は道を歩きながら顎に手を当て考える。

案外簡単に見つけられると思っていたけれど、見つからない。
骸に会う理由付けとして戦いを挑む時はすんなりと予想は出来たのに。

「…」

意図的に隠れている?

1つの考えがふと頭に過ぎり、ピタリと歩みが止まる。

それなら納得がいく。
仮にも術士なのだから、僕から姿をくらますなんて本気を出せば容易なこと。










しかし、なぜ?
僕から姿を、意図的に消すのか。











「…あれ、雲雀さん?」

考えることに夢中で背後からの気配に気が付かなかった。
顔を向けると、沢田綱吉が袋を抱えながら立っている。

「こんにちはー、ってもう夜になっちゃいますけど」

「…君か…元赤ん坊がいないなら君に用はないよ」

「リボーンは今日、イタリアに行ってて…あ、ヒバードと一緒…」

苦笑いを浮かべながら肩にのっているヒバードを見た瞬間、綱吉の言葉が止まり少し驚いたように瞳を丸くした。

「…なに?」

「あ、いえ!えっと…」

煮えきらない態度に骸が見つからない事が重なって少し苛つきながら問いかけると、綱吉は言いづらそうに口を開いた。










「雲雀さん、気付いてないんですか?」











「…なにが?」

突然の問いかけに意味がわからず首を傾げてしまう。

「あ…いや、俺の勘違いでした!
それじゃ、俺おつかいの帰りなんで…さようなら!」

雲雀の様子にハッとした綱吉はあわあわとしながら言葉を紡いでいき、バッと勢いよくお辞儀をしたかと思えばそのまま颯爽と去っていった。

「…うるさい小動物」

綱吉が去る背中を見ながらポツリと呟き、ヒバードの頭を人撫でしてから歩き出す。

"雲雀さん、気付いてないんですか?"

…彼の言った言葉の意味が少し引っかかる。
今から追って問い詰めるのはめんどう。
今日は一旦、家に帰って続きは明日にしよう。

雲雀は小さく欠伸をすると、そのまま帰路へと向かった。










「…」










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