自分勝手過ぎるので
「…いない?」
黒曜ランドを訪れた雲雀。
骸が不在な事を出てきた千種から聞いて首を傾げた。
「ここ1週間、骸様は不在にしてる」
「…ふぅん…、ならここに用はない
またいる時に出直す」
「待ちなよ」
骸がいないと分かるやいなや、雲雀は踵を返して敷地内から出ようとすると背後から千種に呼び止められる。
「…弱い奴に構ってる暇、ないよ」
「…骸様の居場所、知らないの?」
「僕が知るわけない
彼とは2週間位会ってないからね」
「てっきり、またお前に巻き込まれてると思ってたんだけど…違うのか…」
「…」
雲雀からの返答に千種は顎に手を当てながら考え込んでおり、雲雀はそれを一瞥した後に背中を向けて歩き出した。
この前会った時から2週間。
前に会った時に、"なるべく会う頻度を増やす"と言いながらまた忘れていた。
思い出して来てみれば、1週間も不在。
「…」
骸が行きそうな所なんて知らない。分からない。
よく考えれば、彼の事はなにも知らない。
「ミードリタナービクー」
ふと聞き覚えのある少しカタコトな歌声。
雲雀が声のする方へと顔を向けてみると、ヒバードがぱたぱたと羽ばたきながらやってきて、指を差し出すとそこに止まった。
「君、こんなところまでついてきたの?」
片方の手で頭を優しく撫でてやると"ヒバリ"と自分の名前を口にしながら指に頭を押し付けてきて、その光景に頬が緩む。
今日はどうせ休日で学校はない。
溜まっていた仕事もないから特に用事もないし。
「…仕方ない」
雲雀は自分の指に止まっていたヒバードを肩へと移した。
「探してみるか…骸のこと」
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