開かぬなら無理やり開けようその口を


...とは言ったものの。

蓮は自分の下でくすぐり、悶えているホロホロを見下ろした。     

「ひッ...れ、蓮...も、くるひ...ッ」

ざっとくすぐり始めて1分、といったところか。
まぁ、くすぐりは始めのうちはくすぐったいがだんだんと苦しくなっていくものだからな...あまりやり過ぎるのもよくはないだろう。










...しかし。










「...」

蓮はパッとくすぐっていた手を止めて再びホロホロの様子を見る。

「ふはッ...は...ぁ」

くすぐりから解放されて乱れた呼吸を整えるように荒い呼吸を繰り返すホロホロ。
相当苦しかったのか、瞳に涙を溜めながらキッと蓮を睨み上げている。

「おまッ、や、やり過...ぎぃ?!」

ゼェゼェと呼吸を荒げたまま噛みついてくるホロホロの脇腹を再びくすぐり始めるとビクッと体を反らす。

「ふ、ふは、は、や、やめ、やめろぉ!」

これはなかなか...。

ホロホロの反応を見て無意識に笑みが溢れてしまう。

「おっ、ま、ひ、んは、顔!極悪人みた、いな顔!」

蓮の表情を見たホロホロは笑いながら顔を指摘し始める。

「失礼な奴だな」

「げほッ!あはッ!も、ほんと、やめ、あ!くるし!」

「...まだ2分だ、1/5しか経っていない」

「そ、んなの知るか!ッ...はぁ...も、もう無視しねぇし、え、っちも、お前が、やりたいだけ、すっから!」

「ほぉ...それはいい話だな」

ホロホロの言葉にピクリと反応を示すと蓮はくすぐっていた手を離した。

「ッはぁ!!」

やっと解放されたホロホロは再び乱れた呼吸を繰り返しながらソファーへと深く体を沈める。

「お、まえ...まじ、くすぐりはだめだろ...」

「ならば初めから俺を無視するなど幼稚な事をしないんだな」

「...」

"フンッ"と鼻で笑いながら自分の頭を撫で始める蓮をホロホロはチラリと見た。

「なんだ」

「いや...そんなに俺に無視されたのが嫌だったのかなぁと」

「逆に聞くが、俺が貴様の事を無視したとしたらどういう心境になる」

「え、お前が俺の事無視するわけねーじゃん」

「どこからその自信が来るんだ
例えばの話だ」

「例えば、ねぇ...」

"うーん"と唸りながらホロホロは腕組みをして考え込む。

「無視...無視...」

「...」

「...あれ、めちゃくちゃ寂しくね?」

ハッと目を見開いた後に蓮へと顔を向けるホロホロを見て蓮は呆れたようにため息をついた。

「...そういうことだ、わかったらもうするな」

「お、おぉ...わりぃ...でも、本当に俺の事無視するなよ?
お前に無視されたら寂しくて死んじゃいそーだわ」

上体を起こすと蓮が隣へと腰かけてくるのでホロホロはポフッと蓮に寄りかかって肩に顎をのせながら言う。

「さっきお前にほんの少しだったけど俺の事無視されて気持ちはわかったし
少しされただけでそう思っちゃうんだから俺も人の事言えず相当蓮が好きみたいだわ」

「...」

「...な、なんだよ
なんでお前黙ってるわけ?もしかして引いてんのか?
いいじゃん、俺だってこういうこと言って!
デレホロ貴重だかんな?!」

「そういうことは自分で言うものではない
...時にホロホロ、貴様は自分で言った言葉を覚えているか?」

「あ?俺の言った言葉?」

ぽかんとして自分の言った言葉を覚えていないような素振りを見せるホロホロの肩を掴んで自分と目を合わさせる。

「先程、貴様は言ったよな?
"もう無視もしないしえっちもお前がやりたいだけする"と」

「...あッ」

自分の発言を思い出したのかホロホロの顔色がだんだんと青みがかっていく。










「男たるもの、約束は守ってもらわないとな」

「お...お手柔らかに...」










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