暖かいこの中で
「いや、これは絶対違うだろ」
蓮の足の間に入り、後ろから抱き締められているホロホロは不満げな口ぶりで言う。
「なにがだ?」
「なにがだ?じゃねーよ
これじゃ、お前背中さみぃじゃん」
「...俺の心配か
体格差を指摘されるのかと思っていたのだが」
「指摘すると怒るのはどこの誰だよ、おい」
「まぁ、案ずるな
足だけでも暖まるし
それに、寒いのならばこうすればいい」
そう言いながらホロホロの腹部へと手を回して抱き締める力が少し強まる。
「貴様の体温は高めだし、こたつでなおさら体温が上がるだろうからこれだけでも良さそうだ」
「これだと俺は前はこたつ、後ろは蓮に挟まれて逆に暑くなりそうなんだけど
ただでさえ、俺あんまり暑いの得意じゃねぇんだから
溶けちったらどうすんのよ」
テーブルに突っ伏し、チラリと蓮に視線を向けると蓮は"ふむ"と少し考える素振りを見せる。
「確かに、溶けてしまうのは困るな」
「だろ?」
「まぁ、溶けたら溶けたで凝固剤で固めればいい」
「そんなんで固まったら苦労しねぇよ」
「冗談だ」
「冗談に聞こえねぇから質がわりぃ
とりあえず離して蓮...あちぃ」
「そんなに暑いのか?」
ひょこっとホロホロの顔を覗き込んでみると先程よりも頬が赤らんでおり、そっと触れてみると確かに熱をもっていて熱い。
ホロホロは頬に触れた手に気持ち良さそうに瞳を細めながら手を重ねて、すりっとすり寄る。
「蓮の手きもちーわ、ちょい冷たくて」
「まぁ、貴様の今の体温に比べたらな
ほら、離れるから離せ」
「んー...もうちょいこのまま...」
「...ホロホロ」
離れようとする蓮を引き留めるかのように蓮の手を堪能するホロホロの名前を呼んで顔を近づける。
「別に俺は構わないが、あまりそのような行動をするのならいつもの展開になるが...いいのか?」
「...今はちょいやめてほしいかなぁ」
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