暴露話


「えっと...なぜそこまでして知りたいんだい?」

ハオは困ったような笑みを浮かべながら蓮に問いかける。

「僕はホロホロがあまりにもキャンキャン騒いでうるさいから静かにさせるために言ったまでで、彼がおとなしくしてくれているのなら言うつもりはないよ」

ホロホロへと視線を向けると、"絶対に言うな"と顔をすごい勢いでブンブンと横に振っていた。

「...そういうわけだから、僕は言うつもりはな」

ガシッ。

「うぶッ」

「言え」

蓮がハオに手を伸ばし、片手で頬を掴みながらギロリと睨み付け低い声で催促をする。

「君はなぜそこま」

ギリギリギリギリッ。

「ちょ、あの」

ギリギリギリギリッ。

「...葉、助けてくれないかい?
彼、僕が言うまで離すつもりがないそうだ」

一向に離す気配がなく、どんどんと力を込め続ける蓮になにを言っても無駄だと感じたハオは葉に助けを求めだす。

「いやぁ、それはオイラには止められんよ
だって蓮の奴、ホロホロセコムだし」

「セコ...?」

「そーだそーだ、そいつホロホロの事となったら手段選ばねぇからなぁ」

「自分以外にも好きな人がいるって知ったらそりゃお怒りだろーよ」 

「僕は初めてセコム発動見たけど...噂以上にすごいねぇ」

「えっ、これ共通認識なの?」

葉に続いて竜、チョコラブ、リゼルグも口々に言い出す。

「セコムって...なんだい、蓮?君はホロホロの飼い主になったのかな?」

「飼い主だなんて馬鹿なことを言うな、ハオ
こやつは俺の恋人兼嫁だ」

「今嫁って言った?」

「その嫁が、だ
俺以外にも好きな者がいると聞いておとなしくしてなどいられん」

手に込めていた力を緩めハオから手を離すと、ソローッと自分から離れようとしていたホロホロの額に巻いているタオルを引っ張り引き寄せる。

「なかなか、君は嫉妬深いんだね」

「フンッ、褒めてもなにも出んぞ」

「褒めてねぇだろ...皮肉だ...」

「...」

「ひえッ」

蓮とハオの会話に小さく突っ込みを入れているとギロリと蓮に鋭く睨み付けられ小さく声を漏らし、ホロホロはサッと蓮から顔をそらす。

「...ふむ」

ハオは二人の様子を眺めながら片目をパチリと閉じ、視線をホロホロに注ぐ。

これは僕が言うべき事ではないからなぁ。
まさかこの二人がそういう関係だとは思わなかったし。

「まぁ、貴様が言わないのならばこやつに聞くとしよう」

一向に話すつもりがないハオに興味をなくし、蓮はホロホロへと詰めより出す。

「さぁ、吐いてもらおうかホロホロ」

「んえぇ、いや、ちょ、待って」

「待つわけなかろう、馬鹿者
俺が貴様を愛しているのを理解した上で付き合っているのに、他に好きな者がいるとは...なんとも強欲な奴だな」

「いや、だから」

「俺の気持ちを弄んでいた、ということか?」

他のメンバーが"またやってるよ"と慣れた雰囲気でスルーをして各々会話を始め出した。

「そういうわけじゃ」

「ならば言えるはずだろう?」

「ッ...それは...」

ホロホロは困ったように眉を八の字に下げ、唇をギュッと固く閉じる。










ま、これは言えないだろうね。
なぜなら、これは彼にとって...。










「蓮、一つ勘違いしているようだから教えてあげるよ」

二人のやり取りに見かねたハオは立ち上がり、ホロホロを庇うように間へと立った。

「なんだ、吐く気になったか?」

「僕は確かに好いている女の名前を言うと言ったね
しかし、この"好いている"というのはいろんな意味が込められている」

「なにが言いたい」

「例えば、君がホロホロに対する好意は恋愛感情
葉が君達友達に向けている好意は友情
リゼルグが父親、母親に向けていたは家族愛と、一重に好意と言っても様々な種類がある
僕は確かに、ホロホロの心の中に好いている女の名前が見えた
確かにそれは女だったけど、果たしてホロホロのその好意は先ほど言った愛情のどれに当てはまるかまでは僕には見えなかった
その不確かな中、ホロホロをそうやって追い詰めるのはよくないんじゃないかい?」

「...」

「まぁまぁ、そう怖い顔をするなよ
しかし、1つだけ確かなことがある
せっかくだからお前に教えてあげるよ」

「...なんだ」

そう言いながらハオは蓮へと近寄って耳元に唇を寄せた。











「ホロホロが愛しているのは君だけだから、安心しなよ
それに、君の怒る様を見て不安になっているようだけど?」









「...」

ハオに耳打ちをされ、蓮はチラリとホロホロを一瞥する。
ホロホロは蓮が腰に巻いているタオルを指でギュッと掴み下を向いていた。










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