甘え上手の秘訣とは?


「お前って、弟だったよなぁ」

ホロホロは自分の背中に寄りかかり本を読んでいる蓮へと声をかける。

「唐突だな」

蓮は寄りかかるのをやめてあぐらをかくと、背中にあった重みがなくなったホロホロが蓮へと体を向けた。

「二人姉弟だっけ?」

「そうだな、姉さんと二人」

「ほーん」

「なぜそんなことを?」

「いや、よくよく考えたら俺とお前って逆なんだよなぁって
ほら、俺は妹いて蓮には姉がいてさ」

「確かにそうだな、然程気にしたこともなかったが
それがなんだ?」

「いやさ」

ホロホロはジッと蓮を眺めた後に少し考える素振りをする。

「お前ってけっこうわがままだから、そういうの見ると弟っぽいなぁって」

「喧嘩なら買うぞ、ホロホロ」

発言にピクリと反応をし、蓮は静かに立ち上がるとホロホロへと歩み寄る。

「うわー!違っ、そういう意味じゃないっての!」

「そういう意味じゃないならなんだ?」

慌てるホロホロの態度に小さく息を吐けば、蓮は隣へと腰かける。
蓮が落ち着けばホロホロは安堵の息を漏らして言葉を続けた。

「わがままって言い方は悪かったけどさ、実際わがままじゃん
いや、会ったばかりに比べたらましになったけどよ」

「自分の意思を持っていると言ってほしいな」

「ものは言いようだよなぁ、それ」

「わがままな俺は嫌いか?」

「いや、好きよ?」

「ならいいではないか」

「話の論点ずれちゃったじゃん
別にわがままが悪い悪くないの話じゃなくてさ、そうやって自分の気持ちを素直に吐き出せるのはすごいよなぁって思っただけ」

「ふむ、これは弟とかそういうのは関係なく個々の性格だとは思うがな」

「んー、まぁ、そうなんだけどさ」

「とりあえずなにが言いたいんだ?
貴様が唐突に言い出すときはなにか裏があるときだからな」

「裏って...そんな悪いこと思い付いたりしてねーよぉ?」

「ならば言えるはずだろう?」

ジッと瞳を見つめられ、少し戸惑うもホロホロは見つめ返しながら口を開く。

「いや、大したことじゃねーんだけどさ
お前って甘え上手だよなぁって
それで、よくよく考えたら葉も葉王にけっこう甘えたりしてるからさ
弟属性の奴らはみんなそうなのかなーっと」

「そういうことか...貴様は本当にそういう無駄なことを考えるのが好きだな」

「無駄って、おま」

「しかしそうだな...まぁ、話を聞く限り一理あるのかもしれん
俺は姉さんに存分に甘やかされてきたからな、だからといってちゃんとだめなことはだめと教えられてはいた
まぁ、姉さんが甘いのには俺の家の環境も理由の1つではあるかもしれないがな」

「なるホロなぁ...」

蓮の言葉を聞いて納得したようにホロホロは言う。

確かに蓮の家の環境は目の当たりにしたことある。それならあの潤さんが蓮に甘いのはわかる気がするわ。


「そういう貴様は?」

「あん?」

「貴様は妹にやはり甘かったのか?」

「俺...俺は...やっぱり甘かったと思うぜ?
お前の家とは理由が違うけど、やっぱりまわりの環境が環境だったしなー
それに、なんか頼られると嬉しかったし?"お兄ちゃん"ってさ」

「ふむ...上の立場になったことが俺にはないからわからないが...そうだな」

蓮は顎に手を当ててなにやら考え込んだ後にホロホロへと両手を伸ばす。

「ん?」

「ならば、今から俺が貴様の"兄"になろう」

「...お前も突拍子のないこと言い出すよな
てか、俺達恋人なのに兄弟になんの?近親相姦にならね?」

「そこまで細かく考えなくてもよかろう」

「それに、そんないきなり言われてもそう簡単に」

「ホロホロ」

蓮は言葉を遮ればジッとなにか言いたげにホロホロを見つめる。
ホロホロは見つめられれば少し見つめ返し、小さく息を吐きながらそのまま蓮の太ももの上に乗って抱きついた。










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