迷うことをやめたお前は
「今帰った」
俺は背中にホロホロを背負いながら民宿「炎」の扉を開いた。
俺の声が聞こえたのか中から葉が姿を見せてきて俺のもとへと歩いてくる。
「お帰り、蓮...っと...ホロホロ?いったいどうしたんよ」
気を失ってなんの反応もせずに背負われているホロホロに気づいたのか驚いた表情で俺を見た。
「あぁ、修行を終えた後にこいつと手合わせをしていてな...
俺がこいつに止めを差してしまって気を失っているのだ
まったく、情けないといったらないな」
「おいおい、本戦中なんだからあまり危ないことすんなよな」
「貴様に言われなくてもわかっている
どこか空いている部屋はあるか?こいつのことを寝かせる」
「おー、なら一番奥の部屋に布団敷いてあるからそこに」
「そうか、謝謝」
葉は奥にある和室を指差しながら言い、俺は靴を脱ぎながら礼を言うとそのまま部屋へと向かい出す。
「重そうだしオイラが連れてこうか?」
「いや、いい
もとは俺のせいでこうなってしまったからな...その責任くらいはとる」
「責任って、そこまで大事でもねぇだろ」
俺の言葉に葉はへらりと笑い出す。俺は葉へと体を向けた。
「...いや、それだけのことをしたのだからとるさ」
「お、おぉ?まぁ、蓮がそう言うんならいいんじゃねぇか?」
俺の言葉の真意に気付いていない葉は不思議そうに首を傾げている。
俺は背中を向けると指示された和室へと歩いていき、襖を開けた。
中には何組かの布団が敷かれており、その1つにホロホロを寝かせる。
ホロホロはよほど疲れているのか"うーん"と唸り声を漏らすだけで起きる気配がない。
...やり過ぎてしまっただろうか。
起きない様子のホロホロを見て顎に手を当てながら考える。
なにぶん初めてなものでどの程度したらいいのかわからなかった。しかも俺も余裕がなかったのでこいつに気を使うこともできなかったな。
しかし、まぁ...。
『あッ、はぁ...ッ...』
『むりッ、そんなの入らねぇって!ッ...~~!!』
『れ、ッん...!』
...なかなかの乱れようだったが...初めてだよな、こいつは。
行為の最中を思い出し、ホロホロのあまりの乱れように思わず考えてしまう。
いや、流石に初めてだとは思うがな。
さて、俺はこいつに思いの丈をぶつけてしまった。
きちんと責任はとらないといけないな。
普段はタオルで隠されている額に軽く触れた後、前屈みになって軽くキスを落とし笑みを浮かべる。
「絶対に、俺を好きにさせてみせるぞ...ホロホロ」
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