お前の隣で
「ッだー!つっかれた!」
3人を運び終えたホロホロと蓮は縁側へと腰を下ろした。
自分よりも体格のいい竜とファウストを運ぶのに一苦労だったのかホロホロは声をあげながらぱたりと後ろに倒れて寝転がる。
「あの程度で疲れるとは情けない」
「お前はリゼルグだけだからだろ、お姫様だっこしてナイト気取りですかぁ?」
「元は貴様が撒いた種だ、人一倍働いて謝罪をするのが筋というものだろう?
それに、リゼルグは他所のチームの人間
下手に怪我をさせたりしたらめんどうになりそうだから丁重に扱っただけのことだ」
「ならもし俺が違うチームだったら丁重に扱ってくれんのかよ」
「違うチームなら手加減せずに貴様を殺れるな」
「結局俺に対しての扱い変わらねぇのかよ!
って、やめろ詰め寄るな怖いわ!!」
ホロホロの言葉にチラリと一瞥した後、蓮は拳を握りしめながら詰め寄っていくとホロホロは両手をあげて降参の意を示した。
「...貴様は、俺に丁重に扱われたいのか?」
「あん?」
ホロホロの先程からの発言にふと疑問に思った蓮は握りしめていた拳を緩めながら問いかけると、ホロホロは"あー"と声を漏らしながら天井を見上げた。
「そりゃ、お前の普段の俺に対する接し方からして少し位は丁重に扱ってもよくね?」
「普段の接し方では満足しないと?」
「むしろセクハラしまくって挙げ句の果てに足腰立たなくなるくらい犯してる時点で普通じゃねーよ
体力に自信がある俺ですらをそんなんにするお前って本当になんなの?
お前さ、俺が気づいてないと思ってるかもだけどさっき竜運んでるときに尻触ったこと分かってるからな」
「いれられる側の方が負担が大きいのは当たり前だ
貴様の体力が無い、というわけではないから安心しろ
あと、尻を触ったのは触ってほしそうな感じがしたから触ったまでだ」
「触ってほしそうってなんだよ、んなわけねーだろ!」
「それともなにか?」
「あ?」
蓮の発言にツッコミ疲れてゼェゼェと息を切らしているホロホロにそっと近寄って顔を覗きこみ、頬にそっと手を添える。
「俺に触れられるのは、嫌か?」
「...嫌じゃ、ねーけどよぉ
たまには普通の恋人みたいにしてほしいっつーか」
ホロホロは手にすり寄りながらぽつぽつと呟くように言い出し、その言葉に蓮は"ふむ"と考え込みながら頬に添えた手で撫で始める。
「なら問おう、貴様の言う"普通"とはなんだ」
「え?」
「なにぶん、俺は交際は貴様が初めてなものでな
恋人との接し方がわからない
貴様がそういう風に言うのなら教えてくれないか?」
「う...ッ....て、言われても俺だって付き合ったのは蓮が初めてだからわからねぇよ」
「まぁ、貴様のことだからそうだろうな」
「失礼じゃね?!」
「ならば、貴様の普通というものを聞かせてもらおうではないか」
「普通...俺の普通ねぇ...
俺は別に、えっちなことしなくても蓮の隣にいられればそれでいいっつーか...」
「...」
「いや、えっちなことも嫌いじゃねーけど...好きだけど、好きだけど!」
「どっちなんだ」
「好きだよ!中学生男子なめんなぁ!!」
「うるさい、大声で喚くな」
「うぶッ!!」
ギャンギャンッと大声を出すホロホロの口を手で押さえながら蓮は見下ろした後に、小さくため息をつきながらホロホロから視線を外した。
「...蓮?」
自分の口を押さえる手の力が抜けており、蓮の様子に疑問を抱きながら手を退かして上体を起こす。
「どしたよ」
「いや...ホロホロ、貴様は俺のこと好きすぎだな」
「あぁん?今さらだろーよ
そー言うお前だって俺のこと好きだろー」
「そうだな、好きでは収まりが効かん
愛している」
「...」
「しかしそうだな、貴様の言う通りかもしれんな
今後はセクハラ等は少し控えるとしよう
だが、少し位なら触れてもいいだ...おい、何て顔をしているんだ」
話を続けるもホロホロがなにも言わずに黙りこみ始めたためにチラリと横目で様子を伺ってみると口をギュッと閉じて頬を赤らめている顔が目に入る。
「いや...毎回愛してるって言われるけど未だに慣れねぇ」
「普段がさつな癖して初だな」
「うるっせ、あーもー...顔あちぃ」
パタパタと熱の集まった頬を冷まそうと手で扇ぎながら蓮の肩に額をこつんと当て、ぐりぐりと押し付け始める。
「...蓮さぁん」
「なんだ」
「...俺も...愛、してる」
「...」
「...なんか反応してくれませんかねぇ?」
「...ホロホロ」
「んだよぉ」
「そういう可愛らしい事をするから我慢が効かなくなるのだが
それはOKと捉えていいのだろうか」
「おっまえ本当に歪みねぇな」
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