この痕に秘められた
「ホロホロー、今から風呂入ろうぜ風呂ー!」
チョコラブが勢いよく扉を開けて中にいるであろうホロホロへと声をかける。
「...あり?」
「ぐー」
しかし返事はなく中を見渡して見ると、布団に横になりながらいびきをかいて眠っているホロホロの姿があった。
「チョコラブ、ホロホロはいたかぁ?」
「いるけどよー、こいつまた寝てるぜ?風呂前に」
ひょこっと扉越しに竜が覗きながらチョコラブに声をかけると呆れながらチョコラブは眠っているホロホロを指差した。
「あぁん?ほんっとーに寝てるなこいつ」
「最近最近そうだよなぁ、葉の家で皆で泊まるってなったら毎回寝てんだもん」
「まぁ、旦那の家は実家のような安心感があるからなぁ
...っと、そんじゃお楽しみの起こしタイム入りますかぁ」
「どーやって起こしてやろうかー!」
ニヤニヤと笑いながらチョコラブと竜がホロホロに段々と近づいていき体にそっと手を伸ばす。
「貴様ら、なにをしている」
「「!!!」」
部屋の前を通りかかった蓮が声をかけるとビクゥ!と体を跳ねさせて驚く二人。
「れ、蓮脅かすんじゃねぇよ!」
「そ、そうだそうだぁ!心臓飛び出るかと思ったわ!」
「脅かすつもりはなかったが...なんだ、またこいつは寝ているのか」
眠っているホロホロの姿が目に入り状況を察した蓮は部屋の中へと入っていく。
「そうなんだよー!ホロホロの奴また寝てんだよ!だから俺達はまた起こそうとして」
「別によかろう、起こさんでも
こやつが起きても煩わしいだけだ」
「確かにそうだがよぉ、せっかく温泉あんだから皆で入らねーわけにはいかねーだろ?」
「温泉...あぁ、そういうことか」
「なんだよ蓮?」
「いや、なにもない
貴様ら先に入ってこい」
「まぁ、起こすのもかわいそうな気がしなくもねーから別にいいけど
なら蓮も一緒に」
「俺はいい、貴様らの相手は骨が折れるしめんどうだ」
「なんだとぉ?!」
「まぁまぁ、蓮がそう言うんならいいじゃねぇか
そんじゃー蓮、ホロホロのお守り頼んだぜー」
蓮の言葉に噛みつく竜だったがチョコラブになだめられながら部屋の外へと出ていき扉がパタンと閉められる。
遠退いていく足音を聞いていた蓮はホロホロへと体を向けて近づくとゲシッと頭を軽く蹴った。
「おい、いつまで狸寝入りをしているつもりだ」
「...ばれてんのかよ」
蓮の言葉にホロホロは目を開けながら言うと上体を起こして蹴られた箇所を手で抑えた。
「もーちょい優しい起こし方してくれてもよくね?」
「それよりも最近はここに泊まる時、奴等と一緒に風呂に入らないな」
チラリと座っているホロホロに視線をやりながら言うと、ジトリとした目付きでホロホロは蓮を見上げた。
「...どの口が言ってんだよ」
「さて、なんのことだろうか」
「惚けんな、誰のせいで風呂入れねぇと思ってんだよ」
「言いたいことがあるのならはっきりと言え」
「なら言わせてもらうわ...」
ホロホロは惚ける蓮に見せるように上着のチャックを下ろしていき、首筋に見える赤い痕を指さした。
「どっかの誰かさんがキスマークなんてつけるから皆と温泉入れねぇんですけどぉ?」
「そうか、それは大変だな」
「俺だって皆と入りてぇんだけど、どーっかの誰かさんがここに泊まる前日に必ず付けるもんだから一人で入るしかねぇわけよ」
「別に気にせず入ればよかろう」
「そりゃ、俺だって1ヶ所位なら誤魔化せるからいいよ?だけどさー...」
「首筋に複数箇所、太股にも付けられたんじゃ恥ずかしくて入れるかぁ!!」
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