喧嘩続きの彼等の秘密


「あっれ、おかしいな
さっき蓮とホロホロの声が聞こえたんだけど」

「お前の聞き間違いじゃねぇのか、チョコラブよぉ」

「いやいや、俺が聞き間違えるわけねぇって」

部屋の前を通りかかったチョコラブと竜が扉を開けて中へと入ってきてキョロキョロと部屋を見渡した。
そこには二人の姿がおらずに不思議そうにチョコラブは首をかしげた。

「「...」」

蓮とホロホロは二人が入ってくる瞬間に押し入れの中へと隠れており難を逃れていた。
二人は顔を見合わすとホロホロの口を押さえていた手を蓮は退かした。

「ッ...ほら見ろ、やっぱ来たじゃねぇか」

「うるさい、竜はともかくチョコラブは厄介だな...
鼻は効くし耳もいい、奴等が出ていくまでやり過ごすしかないようだ」

小声でやり取りをし蓮はめんどくさそうに舌打ちをするとホロホロに密着するように抱き締める。

「ちっかい!お前近いわ!」

「仕方あるまい、客人用の布団が入ってるところに入ってしまったのだから
少し我慢しないか」

「くっそ...」

ホロホロはあまりの近さに気まずそうに顔を蓮の首元に埋めた。

「あいつら喧嘩してそのまんまどっか行っちまったんだろ?
どーせ、そこら辺でくっだらねぇ喧嘩してんだろ」

「あー、確かになぁ
あいつら毎回毎回喧嘩する度にどっかいっちまうし同じチームメイトの俺を置いてけぼりにすんだぜ?ひどくねぇか?!」

「おーおー、そりゃ可哀想なこった
今日ここで皆で寝泊まりするんだろ?
なら布団敷いちまった方がいいんじゃねぇか?」

「竜って気が利くのに見た目で損してるよなぁ、見た目で」

「おいおいチョコラブよぉ、男は見た目じゃねぇ...中身で勝負だ!
っても俺は見た目も中身もさいっこうだけどなぁ!」

「きゃー、竜さんかっこいー」

「そう褒めてもなにもでねぇぜ?」

チョコラブと竜のくだらないやり取りが聞こえてくると押し入れにだんだんと足音が近づいてくる。

「ホロホロ、もう少しそっちに...ッ?」

二人のやり取りに気付いた蓮がホロホロの肩を押して移動しようと声をかけるも返事がなく不思議に思い顔を覗きこむ。

「え...あーなに?」

「なにではない、そっちに詰めろと言ったのだ」

「ん、わかった」

返事をするとホロホロは少し体をずらしてスペースを作り、蓮は少し空いたスペースに体を滑り込ませる。
近くにあった掛け布団を二人で被り少しでもばれないようにカモフラージュをした。

「どうした、体調でも悪いのか?」

口数が減ったホロホロの顔を覗きながら蓮が聞くと自分に抱き付き再び首元に顔を埋め出す。

「あー...いや、なんかこう隠れて密着するのって...すげぇドキドキすんなぁって
俺の心臓触ってみ?たぶん今すごいぜ?」

蓮の手首を掴んで自分の服の中に手をいれると左胸付近にそっと触れさせる。

「...こんなものでわかるわけなかろ
う」

「ふは、だよな」

「確認するならば、こうでないとな」

そう言うと蓮はホロホロの胸板に耳をあてるとそっと心音を確認する。
ドクンドクンと鼓動が早く聞こえてくる。

「...早いな」

「もーやば、ばれたら怖いけどこんな蓮とくっついてる状態見られたらと思うと...」

「...興奮すると?」

「...否定できねぇ」

「変態め」

「それも否定できねぇわ...」

「おーい、チョコラブに竜」

再び扉が開く音が聞こえたと思うと今度は葉の声が聞こえてくる。

「どうしました旦那ぁ?」

「いやぁ、あっちの部屋でリゼルグが寝ちまってよぉ
もういい時間だしあっちで雑魚寝でもいいんじゃねぇかなーって」

「リゼルグが...寝てる...?!」

「あっちにも布団とかあったっけか?」

「おー、押し入れの中にあるぞ?
だから今からあっちで布団敷くの手伝ってくれねーか?」

「お安いご用でさ旦那、そしてリゼルグの隣は俺が...」

「いやだめだろ!お前なにするかわかんねーから!」

鼻息を荒くしながら竜が先陣を切って部屋から出ていくと、慌てて止めるチョコラブの後を葉がついていきパタンと音を立てて扉が閉められた。










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