「へぇ、愛...愛ねぇ...」

蓮が俺を愛してるねぇ...。

「...は？」

蓮から発せられた言葉を復唱しているとなぜそのような言葉が出てきたのかわからずに声をあげながら蓮へと視線を向ける。蓮は至って真面目な様子で俺を見つめ返していた。

「貴様はどうなのだ？」

「...いやいや、待て待て
誰が誰を愛してんの？」

「俺が貴様をだ」

「愛してんの？好きじゃなくて？」

「そうだ」

「恋愛対象的な意味で？」

「そうだと言ってるだろう」

"ﾌﾝｯ"と何度も確認する俺を鼻で笑いながらも真剣な様子の蓮を見てﾎﾟｶﾝとしてしまう。

いや、キスされた時点でそうかなとは思ったけどよぉ...こいつが？俺を？

「それで、貴様はどうなのかと聞いているんだが」

ｼﾞｨｨと穴が開くんじゃないかって言うほど見てくる蓮を見返して俺は口を開く。

「いや、俺お前のこと嫌いだから無理だけど？」

「...そうか」

俺の言葉を聞いた蓮は"ﾌｯ"と渇いたような声で笑うと俺の頬をｶﾞｯと掴んでｷﾞﾘｷﾞﾘと力を込めていく。

「い、いひゃ」

「すまないな、ホロホロ
よく聞こえなかったのだがもう一度言ってくれるか？」

「ひゃからほれはおまえのことがきりゃいらっての」

「もう一度」

「おまえのことがきりゃ」

「よく聞こえん、はっきりと言え」

「ひゃ、ひゃから」

こ、こいつ...俺がイエスと言うまでこのやり取り続ける気だな？！

俺が答える度に力を込め続ける蓮を見ながらそう考えざるを得ない。

「と、とりあえふいひゃいからはなし、はなひへ」

痛みで表情を歪めながら言うと蓮は渋々手を離して赤く腫れた俺の頬にそっと触れる。

「もともと白い肌だから赤くなると分かりやすいな」

「いって...誰のせいだよ、誰の」

「俺のせいだな、安心しろ責任をもってお前のことは俺が面倒を見るからな」

「面倒って、だから俺はお前のこと嫌いっていったよな？！」

「それがなんだ？貴様が俺のこと嫌いだろうがなんだろうが俺が貴様のことを愛しているのは俺の勝手だろう」

「...えっ？」

「なにを勘違いしているのか知らないが、俺は貴様に付き合いを強要などはせん」　

「あっ、そーなの？俺告白されたからてっきりそういう意味かと思ってたわ
...ならとりあえず俺の上から退いてくれませんかねぇ？」

「付き合いを強要しないと言ったがな...ホロホロ」

俺の頬を撫でていた手をｽｯと移動させて首筋を指で撫でられ、ｿﾞｸﾘとした感覚に体が跳ねてしまう。

「貴様が俺をあまりよく思っていないのはわかっているが、好いている者に嫌われているのはあまりいい気はせん」

「まぁ、そーだろうな
だけど俺はお前のその傲慢なとことかいけすかねぇとこが気に入らねぇのよ
なに？もしかして俺のために性格改めるとか？」

「なぜ貴様にそこまでしなければならんのだ」

「それが好意を持っている相手に言うことかよ」

「俺が貴様のためになにか変わるなんてことはせん、これが俺なのだからな」

「じゃ、どうするってんだよ」

「なぁに、簡単なことだ」

蓮はﾆﾔﾘと口角をあげて笑みを浮かべながら俺の耳元へとｽｯと唇を寄せ口を開く。










「貴様が俺のことを好きになればいいだけだ」

「...は？」










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