騙すなんて人聞きの悪い


お、俺が蓮を...好き...?

未だに酸素が足りないのか回らない頭の中で蓮から発せられた言葉が繰り返される。

「でなければ、このような症状は出なかろう?」

「んぇ...あ...ぅ...んんー...」

俺...蓮...好き...なの...か?










「俺...蓮...好きなのかもしんねぇ...」










「ふむ、なら交渉成立だな」

「うぉ?!」

ホロホロの呟くように言った言葉が蓮の耳に届いていたのか、蓮はホロホロを抱き抱えると呆然と立ち尽くしている葉と竜へと顔を向けた。

「と、いうわけだ
こいつは俺のチームにもらっていく」

「いや、もらってくのはいいけど...えっと、今からどちらに?」

「こいつが俺の事を愛しているのがわかったのでな」 

「いやそこまで言ってなくねぇか、ホロホロの奴」

「それに、今のやり取り見る限り明らかに蓮の事好きでその症状出てる訳じゃねぇからな?!
明らかにお前がキスして酸欠状態だったからなわけで!」

「他所から見ると純粋無垢な少年を騙してる奴にしか見えないんよ、オイラ達からしたら」

「ならばこやつに聞いてみるとしよう
ホロホロ、お前は俺の事を好きだと言ったな」

「お、おぉ」

「それすなわち、好き=愛してるということなのだが」

「...え、なら俺蓮の事愛してるって事?」

「そういうことになるな」

「なら...愛してる...んじゃねぇの?」

「...だそうだ
それでは、また本戦で会おう」

「「いやいやいやいや!!」」

"うーん"と顎に手を当てながら蓮の言葉を復唱するように言うホロホロ。
その言葉を聞いてぴたりと少し動きを止める蓮だったが、平静を装いながら再び二人に向かって背中を向けるもすぐに肩を捕まれてくるりと向かい合う体制にされる。

「なんだ、まだなにかあるのか?」

「ありまくりだ!もうなんか言葉巧みに操ろうとするのやめろ!」

「ホロホロもさっきまでの威勢はどうしたよ!
蓮に一回キスされたからってそんなんなってよぉ!
あーもー、とりあえずおめぇら離れろ!公共の場で抱きついてんな!!」

「むっ」

蓮の腕の中にいたホロホロを竜がべりっと剥がして強奪をすると、少し距離を置いたところで下ろしてやる。

「おい、貴様何を勝手に」

「寄るな寄るな、まったく...
ホロホロ、お前さん大丈夫かよ?」

「大丈夫もなにも...俺は大丈夫だぜ?」

「いやどこがだよ、どこが
さっきまでキャンキャン吠えまくって今にも蓮に噛みつきそうだったのに」

「それは...俺が蓮に対する気持ちに気付かなかっただけで...」

「お前ちょろい過ぎだろ?!あんな言葉に信じるなって!!
お前は蓮に騙されてんだよ!」

「騙すだなんて人聞きの悪い
俺はホロホロの為を思って言ったまでだ」

「蓮...お前...実はいい奴なんだな」

「言ったそばから信じるな!!」

「いでぇ!!」

スパコーンッ!といい音を立てながら頭を叩いた竜はホロホロの胸ぐらを掴んでぐらぐらと揺すりだす。

「目を覚ませホロホロぉぉ!!」

「うえっ、ちょ、や、やめ」

「旦那からもなにか言ってやってくださいよ!
ホロホロがこんな詐欺師に騙されていいんですか?!」

揺すり続けながらなにも言わずに眺めている葉へと竜は顔を向けて助けを求めだす。
葉は"うーん"と困ったような笑みを浮かべながらポリポリと頬をかく。

「いやぁ、なんかもういいかなーって
普段の...まぁ、仲が悪いわけじゃねーけどそれよりは静かになるだろうし」

「そんな、匙を投げないでくだせぇ!!」

「うぇっへっへ、まぁいいじゃねーか
これもある意味"雨降って地固まる"ってやつさ
それに...」










「オイラ達は違うチームになるんだし、そういうのに巻き込まれることもないだろうしなぁ」

「...それもそうっすね
この新参者【チョコラブ】に全て投げ捨ててやりますか」


チョコラブの運命や如何に---!!










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