交換こ


「来週花火大会あるってさぁ…」

「花火大会?」

昼過ぎ。
外から汗だくになりながら帰ってきたホロホロは1枚のチラシを部屋の中で涼んでいた蓮へと手渡し、ソファーへとポフリと横たわりながら言う。
ホロホロは暑さでやられたのかぐったりとしており、それを見兼ねた蓮は小さくため息をつきながら冷蔵庫へと向かうと、中から冷えピタを手にとってホロホロの額につけられたタオルを剥ぎ取った後にペチンッと勢いよく貼り付けた。

「んぉッ、つめてぇ…」

「花火大会か…しかし、貴様の場合暑さでやられるのがオチだな」

「夜になりゃ涼しいんじゃね?」 

「しばらく熱帯夜が続くそうだが?
それに、現時点で冷房をつけて寝ているやつがよく言えるな」

「あー…」

スマホを操作し1週間の天気予報を画面に移されたホロホロは思わず声を漏らしてしまう。

「俺、死んじゃう」

「安心しろ、俺が死なせん」

「え、なにそれかっこいい惚れ直すわ」

「まぁ、あまりにも暑いのだから諦めるんだな」

「んー…んんぅ」

歯切れの悪い反応に蓮は横目で見てみると、目に見えて葛藤しているのがわかった。

「…屋台飯食いたい」

「だと思った
ならば俺が行って買ってきてやろうか?」

「屋台飯はその場で食べるから美味いんじゃんッ
それに、蓮が行くなら俺も行きてぇ…」

「…ふむ」

少し楽になってきたのかホロホロはだるそうに体を起こす。
スペースが空くと蓮は隣へと腰掛け、蓮が隣に来るとホロホロはポフリと寄りかかった。

「あちぃ」

「そうか」

"ならくっつくな"と言いたい所だが、こやつの場合逆効果だからな…。

「れぇん」

甘えたような声色で名前を呼びぐりぐりと頭を押し付けられ、蓮は優しく頭を撫で返す。

「なんだ、ホロホロ」

「やっぱ花火大会…行きてぇ」

「ならば暑さ対策をして行くとしよう
1週間も準備する時間があるわけだしな」

そうと決まれば下見を…。
そう思いながら蓮はテーブルに置いていたスマホへと手を伸ばして暑さ対策のアイテムを探ろうとした。
が、それよりも大事なことを思い出して"あ"と声を漏らす。

「どしたぁ?」

「ホロホロ」

「お、おぉ?なによ?」










「浴衣、買いに行くぞ」










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