一人、お独り、寂しんぼ


「…ん…ッ…い…て」

不意に走った頭の痛みからホロホロは頭を手で押さえながらゆっくりと瞳を開ける。
風邪のせいでだるい体を起こしながら周りを見渡すも、時計の秒針のみが部屋の中に響いているだけ。

「ごほッ…」

喉いてぇ、あと…喉乾いた。

咳き込むと喉に痛みが走り一瞬表情を歪めてしまう。
喉の渇きを覚えたホロホロは飲み物を取りに行こうとベッドから静かに降りる。
少しぐらりと体のバランスを崩すも、壁伝いで一歩、また一歩と慎重に歩いていく。

「れぇん…」

蓮の名前を呼びながらなんとか扉までたどり着き、ガチャリとドアノブを回してリビングへと入っていく。
しかし、蓮の姿が見当たらず"あれぇ"と周りを見渡した。
が、やはり姿は見えない。

確かゼリーがどーとか言ってたんだけど、いねぇ。

「とりあえず、水…」

よろよろと歩きキッチンへと向かうと水道の蛇口を捻り、少し体を寄りかからせながらコップに水を注ぐ。 

蓮どこ行ったんだろ…やっぱ実家に行ったとか?

コップに注がれる水をボーッと眺めていると、コップの縁から水が溢れ出す。
それを見て慌てて蛇口を捻って止め、ホロホロはゆっくりと水を飲んだ。
先程まで乾いていた喉が潤っていくのと同時に、水が喉を通る度に鈍痛が走る。

「ッは…」

飲み終わりコップをシンクへと置くと寝室へと戻ろうとするも体が思うように動かない。
ホロホロは体を引きずるように歩き、リビングのソファーへとやっとの思いで辿り着くとそのままボフッと横たわった。

あれ、結構辛いぞこれ…。
風邪ってこんなにひどいもんだったっけ。
つか蓮…蓮いねぇ…玄関、靴あるか見れば分かっか…。

蓮…蓮…。









ぐすッ。











「…れぇん…」










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