エイプリルフール


唐突なのだが、最近俺とホロホロはあまり接していない。
と、いうよりも軽いスキンシップはあるのだが、夜の営みが少ない、と言い直した方がいいかもしれないな。

蓮は寝転がりながらテレビを見ているホロホロを椅子に座りながら見た後に小さく息を漏らす。

最近の天候が良すぎるせいで昼に寝ているのに夜もホロホロが寝てしまうという問題。
確かに温度がちょうどよく心地がよいのはわかるが寝過ぎではないか?
なので今日はホロホロを泣かそうと思う。
泣き顔しばらく見ていないしな。
性格が悪い、と言われるやもしれないが普段馬鹿面を晒しているホロホロの表情が悲しみに歪むのは個人的に好きなのだ。
だからといって不幸のどん底に落とそう、などと考えているわけではないので安心してほしい。
あいにく今日はエイプリルフール。
多少の嘘に早めのネタばらしをするのであれば許してもらえるだろう。
しかし、奴を泣かす嘘となるとあまりいい考えが思いつかない。
俺が奴に言って泣く言葉...馬鹿、アホなどは奴に当てはまるので嘘ではなく真実なので却下。
...こう考えると、なかなか思いつかないものだ。
逆に俺が奴に言われたらダメージが入りそうな言葉ならどうだろうか。
それならば思いつ...くはずだ、自信はないが。

「...ん」

「...ふっ」

いつの間にかうとうととし始めているホロホロの様子に思わず小さく笑みを溢してしまう。

また寝るつもりなのか、奴は。
だがまぁ、シャーマンファイトの時は殺伐としていたし奴も奴で色々と大変だったようだ。
そう考えるとこういう日が続いているのも悪くはない。









いつまでもホロホロと共にこの時間が続けば...。









"俺、お前とさよならするわ"









「...」

ふと脳内にホロホロの声で再生される言葉。
その言葉に思わずピクリと反応してしまう。

...これはなかなか...いやしかし。

口元を押さえていると自然に眉間に皺が寄る。

あまりこういう言葉を使いたくない。試しているようで気分が悪いしな。
しかし、この言葉を俺の口から言い、ホロホロがどのような反応をするのかも気になるのは確か。

「...ホロホロ」

蓮は奴の名前を呼びながら立ち上がり、足を運ぶ。










「大事な話がある」










→オマケ
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