一人の時間


「まったく、スマホを家に置いて出るとは...連絡手段くらいちゃんと取っておけ」

ズカズカと部家の中へと入ると腕を組みながらホロホロの目の前へと仁王立ちをする。

「家に帰ったら貴様の姿もなくスマホも置きっぱなし
おかげで探し回る嵌めになったではないか」

「...」

「まぁ、貴様の行動範囲はあらかた察しがついていたのでな
そこまで苦ではなかったが」

「...」

「...おい、聞いているのかホロホロ
返事くらいし...」

自分の言葉になにも反応を示さずに黙りこんでいるホロホロに違和感を覚えてしゃがんで顔を覗き込んでみるとぼろぼろと涙を流しているのを見てギョッとしてしまう。

「ど、どうした...なぜ泣いている
まさか葉、貴様...」

「お、おいらはなにも!話聞いてただけだし」

なにも言わずに泣き続けているホロホロに戸惑いながら蓮は近くにいた葉へと視線を向けると、葉は否定するように顔を横にぶんぶんと振った。

「ならなぜ泣いて」

「...よ」

「「よ?」」

「...よがったぁぁぁ、蓮帰ってきてくれたぁぁぁ」

先程まで静かに涙を流していたのとはうって代わり、声をあげながらホロホロは蓮へと近づいて抱きついた。
抱きつかれた蓮はホロホロの言葉にきょとんとしながら背中に腕を回して抱き締め返す。

「帰ってきてくれたって...帰ってくるに決まってるだろう?
なにを馬鹿な事を言ってるんだ」

「だって蓮朝起きたらいねぇし、蓮いなくなる夢見たからなおさら怖くなってぇぇぇ!!」

「それはお前が寝ていたからで」

「俺に黙ってどっか行くのやめろよぉ!俺、お前いねぇとすげぇ寂しくて怖くてもうやだぁ!
ずっと俺の隣にいろよ馬鹿蓮!!」

「...待て、先程から話を聞いていれば...」

ホロホロの珍しくデレた発言に心を打たれながらも正気を保ちながら肩に手を置いてグイッと自分から剥がした。










「黙って出ていくも、俺は前々から伝えていたではないか」

「...へ...?」










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