例え切れたとしても
グッ。
『う"ぉ!』
『ム…なにしてるのさ、スクアーロ』
森の中。
任務を終えたスクアーロとマーモンが歩いていると、急にスクアーロの足元が視界の隅からいなくなり、大きな声が聞こえる。
振り向いてみると、スクアーロの後ろ髪が枝に引っかかってしまっており、それで足止めされていた。
マーモンは呆れたような口ぶりでふわりと宙へと浮きながら絡まっている枝へと近付く。
『わりぃ、解いてくれぇ』
『嫌だよ、めんどうだから切ってもいいかい?』
任務終わりで疲れているというのに余計な仕事が増えた。
めんどくさそうに言いながら幻術で出来た枝切り鋏をマーモンは手に持って絡まっている髪に刃を入れようとする。
『う"ぉぉい!切ろうとするんじゃねぇ!』
大きな声で止められ、マーモンはピタリと動きを止めた後に深い溜息をついた。
『髪は切らねぇんだよ、俺は』
『…髪なんて、大した価値の無いものを残してどうするのさ
そんなもの、無くても困らないだろう?』
『そういう問題じゃねぇ…これは、ボスに対する誓いでもあるからな』
『…』
どこか誇らしげな表情のスクアーロを見て、マーモンは"へぇ"と興味なさそうに呟き、髪の毛へと手を伸ばして解き出す。
そんなに難しくはなかったためか、するりとすぐに解けた髪。
『おぉ、サンキュー』
『そのボスに対する忠誠心よりも、ボスに切れてる君の方が僕は印象が強いんだよね
そんなにあの人に、忠誠を誓う価値はあるのかい?』
ふらりとスクアーロの周りを一周した後、スクアーロよりも高い位置からジッと見下ろしながら問いかける。
『…お前みたいに金金言ってる奴にはわからねぇよ』
スクアーロは間を開けた後、そう言ってマーモンの横を通り過ぎ、少し歩いた先で歩みを止めた。
『だがな』
『?』
『あいつは必ずボンゴレ10代目になる男だ
それ程までに、あいつには賭ける価値があるんだよ』
『…まったく、くだらないったらありゃしない
一銭の徳にもならないことだね』
振り向きながら言う様に、マーモンは理解が出来ないというように顔を横に振り後をついていく。
『お前にもそのうちわかるぜ?』
『別に分かりたくないよ
あ、さっきの手間賃あとで振り込んでよね』
『あ"?!そんぐらいで金とるんじゃねぇ!!』
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