僕の知らない世界の君
ボンッ!!
「ッ!!」
「う"ぉ?!」
いきなり視界が真っ暗になったと感じた次の瞬間、自分の身体が煙に包まれておりマーモンはギュッと瞳を閉じた後、恐る恐る瞳を開けた。
隣から驚いたような声が聞こえ顔を向けてみると、いつも通りの姿のスクアーロがおり、ここが元いた自分の時代だと察する。
「…戻ってきた」
「5分経っても戻ってこなかったから心配したぜぇ」
「…うん、そうだね」
どうやらここはスクアーロの部屋のままのようで、ソファーに2人で座っていたらしい。
…とりあえず、無事に帰ってこれてよかった…。
ズキッ。
「ッ…いたた…」
10年後の世界でスクアーロに噛まれた首筋が痛み、マーモンはそこを手で押さえる。
思い切り噛み付くんだもんなぁ、スクアーロ。
"酷いことしたらわりぃな"
…酷いことって、馬鹿馬鹿しい。
スクアーロが僕にそんな事するわけないのにね。
「なんだ、怪我でもしたのかぁ?」
「あぁ、まぁ…うん、ちょっとね…悪いけど見てくれる?」
首筋を擦っているとスクアーロが顔を覗き込んでおり、自分ではどうなってるのか見えないためスクアーロに頼みながら首筋から手を退かした。
首筋の状態を見たスクアーロは瞳を細め、眉間に皺を寄せる。
「…誰にやられたぁ」
「え?あー…えっと…」
ポツリと呟くようにスクアーロは問いかけ、ソッと残っている歯型へと手を触れる。
なんて言おうか…未来の君がやったと言って信じてもらえるのだろうか。
「…」
「う"ぉぉい、答えられねぇのか?」
「ッ」
ギロリと鋭い目付きを向けられマーモンは思わず息を呑む。
「答えられないわけではないけど…珍しいじゃないか、君がそこまで気にするなんて」
「…お前、まさか未来で俺以外の奴に手出されたわけじゃねぇだろな?」
「え?」
ソファーに座っているマーモンに覆いかぶさるようにしながらスクアーロはマーモンを見下ろしながら問いかける。
その言葉に少し驚きながら言葉に詰まっていると、スクアーロの眉間の皺が更に深くなり、首筋にスッと顔を近付けた。
「ちょっと、なんか君様子が変だよ?僕がいない間に一体なにが」
「俺が先に聞いてんだぞ、マーモン
俺以外に、手…出されたのか?」
「ッい!!」
残っている歯型に上書きをするかのようにがぶりと勢いよくスクアーロは噛みつき、痛みでビクッとマーモンは身体を跳ねさせながら声を上げる。
「い、たい…ッいたい!」
ギリギリと力が込められ痛みが増していく。
あまりの痛さにマーモンは瞳に涙を溜め、更に声を上げるとスクアーロは首筋から口を離してそのままマーモンの唇に自分の唇を重ねた。
「ッ、すくあ…」
「…ちょっと黙ってろぉ」
怒りに満ちているスクアーロの雰囲気に気圧されながら名前を呼ぶと、低い声で囁きスクアーロは鋭い目付きのままマーモンを見つめた。
普段向けられないその目付きに、マーモンは10年後のスクアーロの言っていた意味を察し、ゾクリと背中を震わせる。
「…マーモンよぉ」
あぁ、なるほど…。
「…お前、俺以外に手出されてんじゃねぇぞ…クソがぁ」
→おまけ
