僕の知らない世界の君
「待て待て待てぇ!
お前ちょっと勘違いしてねぇか?!」
太腿の上に座り、身体を密着させて顔を近づけるマーモンの肩を制するようにスクアーロは掴んだ。
「勘違いって…なにが?
さっき人にキスをしようとしてたくせに」
「あん時はお前がもうこの時代のお前に戻ってると思ってたんだぁ!」
「ルッスーリア言ってたじゃないか
"まだ10年前の僕だから無理強いしないように"って」
「お前、見た目が小さいままで変わってねぇから気づかなかったんだよ!
さっきお前に顔近付けて気づいたんだ!」
「…僕、そんなに変わってないの?」
「あ"ー、まぁ…身長少し伸び…たくらい…じゃねぇか?」
少し言いづらそうに視線を逸らしながらスクアーロが言い、マーモンはガンッとショックを受けた表情になる。
「…ベルは越えるかと思ってたのに」
「いや無理だろぉ、それは流石に」
「まぁ、気を取り直して…君がいつも僕にどんな感じで癒してもらってるのかは分からないけど…さっきの様子からしてそういう事をしてるんだろう?」
「…お子ちゃまのお前にはまだ早ぇ」
「…え、そんなハードプレイしてるの?」
「いらん誤解するなぁ!んなわけあるか!
お前それで一回ぶっ壊れかけ」
「した事はあるんだ」
「ッ…くそが!とにかくお前とはなにもしねぇよ!
さっきも言ったが、同一人物だとしても過去の俺がぶち切れるからなぁ!」
「…さっきから思ってたんだけど、君が"この位"でぶち切れるとは思わないんだけど
君、僕に対してそんなに独占欲とかないだろう?」
「あ"?なんでそう思うんだぁ?」
「僕、普段ベルと組むことが多いだろう?彼の世話係兼教育係だし
ベルはスキンシップ激しめなのにあまりそういう嫉妬?みたいなの感じたことないなら」
「…」
「だから独占欲とかないのかなぁって思って…」
「…お前なぁ」
"はぁぁぁ"と深い溜息をつきながら額に手を当ててなんとも言えない表情を浮かべだすスクアーロ。
微かに額に青筋が立っていることに気付き、マーモンは"あれ?"と首を傾げる。
「なんか怒ってる?」
「怒ってねぇ…が、あまりにも鈍すぎて少し呆れてる」
「鈍いって失礼だな、感覚は鋭い方だけど」
「人の気持ち察するのが鈍いって言ってんだボケ」
「ひどい言いようにそろそろ僕も怒るよ?」
あまりの言われようにムッとしていると、スクアーロはギロッと鋭い目付きをし、マーモンの腰に手を伸ばしてグッと力強く引き寄せ密着する。
「ッ、な、んだよ」
「…最近はベルが成長したせいか、お前にひっつく事はなくなってたが…10年前はべたべただったからなぁ」
「…?さっきベル、僕の事抱っこしてたけど?」
「…今余計なこと言うんじゃねぇ…マーモン」
「今度はな…ッい…」
名前を呼ばれ返事をしようとすると、いきなり首筋に鋭い痛みが走りマーモンは表情を歪めて歯を食いしばる。
スクアーロが首筋に噛み付いたらしく、その痛みだと言うことに気付くと離れさせようと肩を掴んだ。
「スクアーロ…ッ…痛い…」
「…ッは…マーモンよぉ…先に謝っとくぜぇ」
「んッ」
べろり、と自分の歯型がついた首筋を舐め上げた後、スクアーロはポツリと耳元で囁き、マーモンの顎を掴んで自分の方へと向けさせる。
「過去の俺が、これ見て酷いことしたらわりぃな」
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