僕に関心を
「ムム…別に君、抱き枕なくても眠れるじゃないか」
抱き枕という扱いに納得がいかないのか、マーモンはムッとする。
「似たような物だろう?
マーモン、少し体制が辛い
私の上に乗れ」
「上…?って…こうかい?」
ヴェルデに促されるまま、太ももの上に乗り首を傾げる。
"それでいい"とヴェルデが言うと、再び腰に腕を回されてグッと引き寄せられる。
先程よりもお互いの距離が近く感じ、マーモンは仄かに頬を赤く染めた。
「ッ…な、なんかこの体勢変じゃない?
こういう事は普通しないと思うんだけど」
「…今日は、ずいぶんと無防備だな」
「は…なにを言って…」
ヴェルデの肩へと手を置いて少し距離を取ろうとすると、ヴェルデがポツリと呟く声が聞こえ再度聞き直そうとした瞬間、グラリと自分の視界が揺らいだ。
え、なにが…。
突然の出来事に驚いていると、ヴェルデの顔が至近距離にありその背後に無機質な天井が見える。
その瞬間、ヴェルデが自分の事を押し倒していることにマーモンは気付いた。
「…ねぇ、これはどういう事?」
内心驚きながらも平常心を保ちながらヴェルデを見上げる。
「どういう事、とは?」
「いや、ほらなんかおかしいでしょこの状況…
なんで僕、押し倒されてるのさ」
「…言わないとわからない年でもなかろう」
「ムム…」
ヴェルデはジッとマーモンの瞳を平然とした表情で見つめ、マーモンは唸り言葉を詰まらせながら視線を逸らす。
「…なに?欲求不満なの?
それなら僕少し部屋を空けるから」
「違う、そうだがそうではない」
すかさずヴェルデからの否定が入り、マーモンの頭にもう一つの考えが頭に過る。
「…いやいやいや、君に限ってそんなことはないだろう?
だって、欲求不満以外ってなると、それは…」
マーモンは困ったように眉を下げ、恐る恐る再びヴェルデを見上げた。
「…君が僕に好意を抱いての行動って事になるじゃないか」
「そうだが?」
「は…」
あっさりと返答をするヴェルデに、思わず声を漏らしてしまう。
ヴェルデが…僕のことを…?
「なんだ、気付いていなかったのか」
「…いやいや、気付くも何も、君そんな素振り見せなかったじゃないか
それに、君は…僕に興味がないのかと思って」
「ふむ、そう考えるに至った経緯は?」
「経緯って、そりゃ…いつも実験に夢中だし、実験終わったら終わったで別のことし始めるし」
「それは当たり前だろう
私は科学者なのだから実験中は危険なのだから集中するし、終わった後はすぐにまとめをしているのだからな」
「…た、たしかに」
「しかし、その話を聞くとお前はどうやら私にしょっちゅう構ってほしそうに聞こえるが?」
「…ッ…え…あ、あれ…?」
ヴェルデの言葉に自分の言動がおかしなことに気づいたのか、マーモンは混乱しながらヴェルデを見つめた。
ヴェルデは"フッ"と小さく笑みを浮かべると、マーモンの頬に手を添えて顔を近づけた。
「ちょ、ま、待ってよ」
「待たん、今までどれだけ待ったと思っている」
「やっと私に興味を示したな、マーモン」
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