真っ暗なこの中で
「…やっと目が見えるようになった途端、書類整理させるとか…人使いが荒いね」
2日後、ルッスーリアが言ったように視力が回復したマーモンはスクアーロの部屋にてソファーへと腰掛け書類整理をしながらため息を漏らした。
「うるせぇ、お前がくっついてたから仕事になんなかったんだぁ
こんぐらいやっても罰は当たらねぇだろ」
「タダ働きは本来ならごめんだけど、今回ばかりは僕のせいだから仕方ないな、か…」
隣に座って同様に書類を眺めるスクアーロを横目にマーモンは小さく息を吐く。
目が見えるようになって分かったけど、結構書類溜まってたんだな…それを止めて僕の世話をやらせてしまったんだ。
今回ばかりは大人しく手伝うとしよう。
「…ムム」
これ、金額が間違ってるな…。
そう思いながら目にしている書類にふと気になる箇所を見つけ、マーモンは動きを止めた。
「ねぇ、スクアーロ…この書類なんだけど」
「あ"ぁ?なんだぁ?」
スクアーロに向けて書類を差し出すと、スクアーロはぴったりとマーモンの肩に自分の肩を付けて顔と顔を近付けた。
「…ねぇ、なんか近くないかい?」
「あ"?…あー…そうか、もう目見えてんだもんなぁ」
距離の近さを指摘され、スクアーロは自分に言い聞かせるような口調で言うとスッと顔を離した。
「ムム、どういう意味さ」
「どうもこうもねぇ
目が見えない間、お前が今みたいな感じで顔を近づけて来てたんだよ
まぁ、目が見えなかったから距離感が分からなくなるのも無理はねぇがな」
「…あぁ…なるほど…
確か、任務から帰る時に君が"近い"って怒ってたのはそういうことだったのか…
はっきり言って、あの時の事あまり覚えてなかったから…あぁ、うん…思い出してきた」
その時の光景がだんだんと脳内に浮かび上がり、マーモンは自分の両手で顔を覆い隠す。
…目が見えなかったとはいえ、けっこう大胆な事をしていたな僕…。
なんか…思い出しただけで恥ずかしい…。
チラリとスクアーロに目をやると、視線に気づいたスクアーロが再び顔を近づけてくる。
「なんだ、どうしたぁ?」
「いや…なんか色々と…ごめん」
「まったくだぁ、これからは油断しねぇように任務受ける事だな」
マーモンからの指摘のあった書類を手に取りながらスクアーロは鼻で笑う。
それを見たマーモンは少し考えた後に、スクアーロの服の袖をキュッと握り締めた。
「…スクアーロ」
「今度はなんだ?」
「いや…そう難しいことではないんだけどさ…」
ススッと恥ずかしげな表情を浮かべ、マーモンはスクアーロの顔を覗き込んで口を開く。
「…顔、久々に見るから…たくさん見たいな、なんて…」
「…書類整理手伝った褒美にくれてやるから、さっさと手動かせぇ」
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