真っ暗なこの中で
「ルッスーリアの話聞いてたら遅くなっちまったな…」
食堂の扉を閉め、廊下を歩きながら疲れたようにスクアーロは呟いた。
食堂に着いたはいいものの、何処にあるか分からず、ちょうどルッスーリアが来たからよかった。
だが、その後からルッスーリアの話が止まらなくなって面倒になって今出てきたわけだが…。
ストロー取りに行くだけで20分って。
なにも声かけなかったからあいつ、今頃心配…はしねぇな。
任務後だし、案外疲れて寝てるかもしれない。
「早く戻らねぇと…」
そこでふと前方から壁伝いに歩いている人影が見え、スクアーロは"まさか…"と思いながら歩く速度を速めて近付いた。
「う"ぉぉい、マーモン何出歩いてんだぁ!」
「!」
スクアーロが近づきながら声をかけ、肩に手を置くとマーモンはビクッと身体を跳ねさせスクアーロの顔の方へと身体を向ける。
「スクアーロ…」
「お前、ただでさえ目見てねぇんだから大人しく部屋にいろぉ」
「君に声かけても返事なかったから探しに来たのさ」
「あー、それはわりぃ
ストローの方が飲みやすいと思って取りに行ってた」
「…そう、ならよかった」
「…?」
自分を探しに来たことに対して申し訳なさそうに伝えると、マーモンはホッと安堵の息を漏らしてスクアーロの身体へと手を伸ばしぺたりと身体に触れた。
「そんなに喉乾いてたのかぁ?」
「そういうわけじゃないけど、視界が見えない分時間の感覚がゆっくり過ぎて心配になっただけ」
「心配?」
「とりあえず部屋、戻ろう
ここで立ち話もなんだしね」
「連れてくか?」
「ムムッ、そこまで病人扱いを…と言いたいところだけどお願いしていいかい?
結構、歩くの怖くて」
「まぁ、目見てねぇから仕方ねぇ
これ、持っててくれ」
スクアーロはストローを手渡すと、そのままマーモンを抱きかかえて部屋に向かって歩き出す。
手渡されたストローをマーモンはギュッと握りしめ、スクアーロに身を預けるように寄りかかった。
その場所からスクアーロの身体の温かさを感じ、マーモンは安堵の息を漏らす。
「…君って、たまに死にかけるからなぁ」
「あ"?なんか言ったか?」
「いいや、なにも」
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