任務の一環でして


「…結構、遅くなっちゃったね」

夜道、沢田家から帰宅途中のマーモンは夜空を見上げながらポツリと呟いた。

「わりぃな、迎え遅くて」

「別にいいよ
下校中に何人か襲ってきた奴がいて捕獲できたし
そいつらはリボーンに引き渡してあるから、なにかしらの情報は引き出せるんじゃないかな」

「まぁ、あんまり期待できるもんじゃねぇだろ
どうせ金に困ってる下っ端共だろうからな」

「あとは夜中に、僕の幻術達の反応があるかどうかかな
あったら幻術で仕留めて、その場に駆けつけて捕獲と」

「俺等だけでも手が余る任務でよかったぜ」

「本当にね、でも…君からしてみれば物足りないんじゃない?」

ピタリと立ち止まり、マーモンはくるりとスクアーロへと体を向けて微笑む。

「あ"?まぁ…そりゃ、俺はほとんどガキ共の相手してるだけだから暇といえば暇だが」

「モテモテだね、鮫島先生は
女の子達が君の噂をしていたよ?」

「ッ」

スッとスクアーロの眼鏡へと手を伸ばして眼鏡をとるとそのまま自分の顔へとつける。

「"ディーノ先生とはどういう関係なの?"とか、"彼女はいるの"ってさ
"妹"である僕に聞いてきて…まったく、かっこよくてモテる"兄"を持つと大変だよ」

ニッと軽くはにかみながら言うマーモンの姿にスクアーロは近付いて眼鏡へと触れる。

「君も、女の子に囲まれて満更でもなさそうだしね」

「…はっ…」

眼鏡へと触れた手がピタリと止まり、数秒間が空いてからスクアーロは鼻で笑いながら眼鏡を取り、自分の顔へとかけ直した。

「そういうお前も、男共に囲まれてたじゃねぇか
"何処に住んでるのか"とか"一緒に帰ろう"だの言われててよ
嫌な気、しなかったんじゃねぇの?」

「…見てたのなら止めてよ」

その時の光景を思い出したのか、マーモンは苦虫を噛み潰したような表情を向ける。

「男に囲まれてなにが嬉しいっていうのさ…むさ苦しくて仕方がない
これなら、まだベルの相手のほうがましだよ」

「沢田と一緒に帰るって言った途端、沢田が目の敵のように他の男共から見られてたのが不憫で仕方なかったぜ」

「帰り道、すごい沈んでいたのはそのせいだったのか…
こんなちんちくりんをそういう目で見ないでほしいよね、まったく」

「お前、黙ってりゃ可愛い女にしか見えねぇからな
こればかりは仕方ねぇ」

「…」

スクアーロの言葉にマーモンは驚き、歩みを止めてしまう。
それに気付いたスクアーロも歩みを止めて振り向いた。

「どうした、変な奴でもいたか?」

「…いや、君が可愛いって言ったから」

「あ"ぁ?なに言ってんだよ」

スクアーロは首を傾げながら前を向いて再び歩き出した。










「お前はいつも可愛いだろが」










「…」

「おら、早く帰るぞぉ
スーツ堅苦しくてたまったもんじゃねぇからな」










「…なんでそういうこと、サラッと言うのかなぁ…」










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