お菓子を貰えるイベントだと聞いて
※大人フラン+大人マーモンの世界線。
「マーモンせんぱーい、お願いがあるんですー」
「ム?なんだいフラン」
ヒョコッと部屋へと現れたフランにお願い事があると言われ、マーモンはソファーの隣をポンポンッと叩いて座るように促した。
"失礼しまーす"と言いながらフランは隣へと腰掛け、そこでフランが紙袋を持っていることにマーモンは気が付いた。
「いやー、マーモンせんぱいにしかお願いできない事がありましてー」
「まぁ、僕に出来ることなら別にいいけど
その紙袋はなにか関係あるのかい?」
「おー、お目が高いー
実はお願いというのがですねー…」
紙袋を自分の太腿の上に置いてガサゴソと中身を取り出してテーブルへと並べていく。
それをマーモンはジッと見つめて固まってしまう。
「実はマーモンせんぱいに、赤ずきんちゃんの仮装をしてもらいたくてー」
「却下」
「えー、さっき言ったじゃないですかー
"僕にできることはやる"ってー
着るだけで済む簡単なお仕事ですよー?」
「いや、それとこれとは別
流石に嫌だよ…これ、スカートだし」
ぶーぶーと不満げな表情のフランを他所にマーモンは困ったような表情を浮かべる。
「安心してくださーい、かぼちゃパンツあるんで」
「なにも安心できないよ」
「ならお金、お金積むんでなんとか着てくださいよー」
「お金が絡むならまぁ…必死過ぎて少し引いてるんだけど」
「そりゃ、必死になりますよー
可愛い可愛いマーモンせんぱいの仮装を見るためですからー」
「むむむ…」
ジッと真剣な雰囲気で見つめられ、マーモンはたじろいでしまう。
「そこまで真剣に言われると…少し恥ずかしいんだけど…」
「それに、マーモンせんぱいにだけ仮装させるわけではないのでー
ミーも一緒にしますからー」
「君も?」
そう言いながらフランは再び紙袋の中を物色し始め、その様子をマーモンは見守る。
なんだろ、赤ずきんってなると狼…になると思うんだけど。
フランの狼か…どうせ被り物が狼の耳生えるとかそんな風に…。
「おー、あったあったーこれですー」
やっと見つけたのかフランが取り出した物。
「猟師の仮装ー」
「…なんで猟師」
「そこは狼でしょ、なんで猟師なんてマイナーなチョイスを…」
「チッチッチー、マーモンせんぱい分かってないなー
狼と赤ずきんはありふれすぎて面白みにかけますよー
それに、赤ずきんは最終的に狼に食べらちゃうけど猟師に助けられるじゃないですかー
いわば、猟師は赤ずきんのヒーローなわけですー
ミーは、マーモンせんぱいのヒーローになりたいんですよ」
「…なんだよ、それ」
猟師の仮装をテーブルに置いてマーモンの手を取り優しく握りしめながら言われ、マーモンは恥ずかしそうに視線をそらす。
「お、もしかしてせんぱい照れてます?」
「うるさい、あまり年上をからかうものじゃないよ」
「えー、ミーは本気なんですけどねー」
「わぷッ」
フランはスッとマーモンに抱きつくとそのまま押し倒し、マーモンはきょとんとしながらフランを見上げる。
珍しくフランの口角が上がり、笑みが浮かべられていた。
「ミーの本気、見せてあげましょうかー?」
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