任務の一環でして


「何言ってるの、君?」

「いやだって、女子生徒の服着てるし…」

「あぁ、これはリボーンに言われたからだよ」

「リボーンに?」

「最初、男子生徒の服がいいんじゃないかって言ったんだけど…君の友達の女の子?だっけ?
その子のことも守れるように女子生徒の方が警戒されないだろうって説得されて仕方なく」

「そ、そこまで考えて女装を」

「あと、報酬上乗せしてくれるって言ったから」

「絶対そっちが本命だよね?…ってことは…」

マーモンは自分のスカートの裾を指でつまみ上げながら口元に微かに笑みを浮かべた。

「正真正銘男だよ、残念だったね」

「やめろ、馬鹿」

「ムギャッ!」

スクアーロがパシンッと頭を叩くとマーモンは痛みから声を上げて、頭を押さえながら座り込んでしまう。

「お前、ただでさえ女顔なんだ
未来のボンゴレ10代目の性癖歪ませようとするなぁ」

「歪…っ…みませんよ!」

「なんだ、その間はよぉ」

「そもそも、術士なんだから幻術で姿変えりゃいいんじゃねぇの?」

「いたた…そういう訳にはいかないのさ
今、この並盛町一帯に僕の幻術で作った分身を散らばせているからね…こんな感じに」

頭を押さえながら立ち上がり、スッと指を動かすとポンッと赤ん坊の姿のマーモンが出てきてそれを抱きしめた。

「本当ならベルやルッスーリア、レヴィも連れてこようとしていたんだけど生憎ヴァリアーの任務が立て込んでいてね…
今回は僕とスクアーロ、二人のみの護衛って事になって他の面をカバーする為に僕の分身で町一帯を監視、というわけさ
赤ん坊サイズだと消費が少なくていいんだけれど、それを100体位作っているから流石に自分の姿を変えるまでは出来なくてね」

「あ、赤ん坊の姿がそこら辺に浮いてるって…」

「シュール過ぎじゃねぇか…」

「いや、流石に消しているから
そこら辺の配慮も流石にするよ
それにしてもリボーン」

「なんだよ」

マーモンはリボーンを瞳を細めながら見つめ、ゆっくりと近付いていく。

「僕としては、仮にも狙われているのは沢田綱吉ただ一人
それならば別に、友達の女子生徒を守る必要はないと思うんだけど」

「あぁ、その通りだ
別にそこまで気にすることでは無い」

「なら、僕がこの姿をする必要は最初からなかったってことだよね?」

「そうだ、むしろなんで俺の言う通りに着てんのかなって思」

そこまで言いかけるとマーモンは自分が抱いていた赤ん坊マーモンをリボーンへと投げ飛ばした。
リボーンはそれを受け止めると"あぶねぇな"と言いながら頬を揉み始めている。

「君が、着ろって言ったからだろうが
説得された後によくよく考えてみると意味ないなって思ったけど、君のことだからまたなにか考えているのかと」

「ただ単にお前への嫌がらせで着せたのと、その姿のお前の写真撮って売り飛ばしてやろうかなって」

「売り飛ばすなら分前を寄越せ、分前を
それならこれは脱」

「おい、追加で金やってるんだから脱ぐなよ
脱ぐんなら返してもらうぞ」

「チッ、くそが
君の言う通り、渡されたの一式着るんじゃなかった…」

「一式…」

舌打ちをしながら放つマーモンの言葉にリボーンは少し考えた後、マーモンへと近付いていく。

「な、なんだよ」

「お前、"あれ"も着けてるってことか?」

「あれ?」

「…」

リボーンからの問いかけにマーモンは無言になりながらスクアーロの背後へと避難をする。

「…とりあえず、金をもらったからにはこの任務が終わるまではこの服でいてやる」

「隠れながら言うんじゃねぇよ」

「えっと、そう言えばスクアーロに聞きたいんだけど…」

ツナはススーッと手を挙げてスクアーロに話しかける。

「なんだぁ?
任務を請け負ったからにはお前等にはなにも手出しはしねぇぞ?」

「いや、そうじゃなくて
さっきマーモンが"他のメンバーは任務が立て込んでる"って言ってましたよね?
それって、ザンザスも…」

「ボスがやるわけねぇだろぉ
うるせぇだけだからアジトに置いてきた」

「ザンザス…」










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