任務の一環でして


「ツナ、聞いたか?
今日新しい先生と転校生が来るって」

「え?」

朝、教室へと着いたツナが席に座ろうとした所山本が挨拶をしながら声をかけてきた。

「そうなの?って、どこからそんな情報を…」

「俺今日朝練あったからさ、そこで聞いたんだよ」

「あぁ、なるほど」

「十代目!」

廊下から慌てて走ってくる足音が聞こえたと思うと、息を切らしながら獄寺が教室へと入ってくる。

「獄寺君、おはよ」

「お、おはようございます…」

「どうしたんだ獄寺、そんなに慌てて
寝坊でもしたのか?」

ゼェゼェと息を整えながらツナの元へとやってくる獄寺に2人が声を掛けると、獄寺は慎重な面持ちになった。

「んなわけねぇだろ、馬鹿!
じゃなくて…十代目、実はさっき…」

「おーい、お前等席に着けー」

「「「!」」」

獄寺が話を続けようとした瞬間、教室の扉がガラリと開けられて聞き覚えのある声が響く。

「今の声って…ディーノさん?!」

3人が顔を向けると、そこにはディーノの姿がありツナは思わず声を上げてしまう。
ディーノはツナに顔を向けるとはにかみながら手を軽く上げ、教壇の上へと立った。
周りからは女子生徒の黄色い声が立ち込め、それにもディーノは手を振り返していた。

「よーし、お前ら席に着けー
担任副担任の先生がしばらく出張になったらしくて、1週間また担任代理するからよろしくな…それとー」

生徒達が席に着いたのを確認し、ディーノが今回訪れた経緯を説明した後に、前方にある扉へと目を向ける。
それにつられてツナや生徒達の視線もそちらに集まった。

「俺一人だと流石に大変って事で、俺の知り合いの先生が副担任代理になるのと、その先生の"妹"が転校してきたから紹介するな、入ってきてくれー」

扉に向かって声を掛けると、一呼吸置いて扉が開かれ入ってきた人物にツナと山本、獄寺は目を見開いた。

身に覚えのある長い銀髪は緩く1つに結われ、鋭い目つきを隠すように付けられた眼鏡。
普段の隊服とは違い、きっちりと着こなされたスーツ。

その人物はディーノの隣に立つとゆっくりと口を開く。









「…鮫島だ、よろしく頼む」










「ㇲ…ッ…」

ツナの口から声が出そうになるも、ディーノと鮫島…改めスクアーロの視線にツナは慌てて口を閉ざした。

まさかスクアーロが山本の言ってた先生だったの?!
…でも、そしたらディーノさんがさっき言ってた"妹"…もヴァリアー関係者…ってことになるけれど…え、女の子…女の子なんていたっけ?

女子生徒達の"かっこいー"や"ディーノさんとは違うイケメン…!"というヒソヒソ声が聞こえる中、ツナは頭の中でぐるぐると思考を巡らせる。

「あとは転校生、入っていいぞー」

しーん…。

もう一人呼ぶも、姿が一向に現れない。
ディーノがスクアーロに目配せをすると、めんどくさそうな表情を浮かべながらスクアーロは一旦廊下へと出ていく。
一言二言交わす声が聞こえ、スクアーロが再度教室へと入ってくるとその後を着いてくるように少し背の低い女子生徒が入ってくる。
藍色の髪色が印象的なその子は、教壇の前へと立った。

「自己紹介お願いな?」

「…鮫島、真守(まもる)」

「…というわけで、鮫島先生と真守の事をよろしくな、お前達
真守はそうだなー…沢田の隣空いてるしそこに座ってくれ」 

「…」

ディーノに指示をされ小さく頷いた真守はツナの隣に空いている席へと腰掛けた。

「…よ…よろしくね?」

「…」

ツナがぎこちなく挨拶をすると真守はチラリと一瞥した後にスッと視線を前へと戻した。

え、無視…ッ!!

ガンッと落ち込みながら同じように前を向いてディーノとスクアーロが離しているのを見る。

…ヴァリアーにこんな可愛い子っていたっけ…。
そもそも、女の子自体いなかった気がするんだけど…。

「…ねぇ」

「えぁ?!」

ふと声をかけられ思わず体を跳ねさせながら声を上げてしまう。

「見過ぎなんだけど、僕の事」

「ご、ごめ…え、僕…?」

真守は前を向いた状態でツナに言うと、ツナは謝りながらも一人称が気になり復唱した。

今、"僕"って言った?

チラリと真守が視線を向け、藍色の瞳で見つめられ、ツナは少しドキッとしてしまう。

よく思い出すと、この声、どこかで…。










「そんなに見るなら…お金、払ってもらうよ」

「…もしかして…マーモン…?!」










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