とある日の夢のこと
「別に様子見る必要ねぇだろが、めんどくせぇ」
ルッスーリアの後ろを歩きながらめんどくさそうにスクアーロは呟く。
「部下の面倒を見るのも貴方の仕事でしょ?
ベルちゃんの事、焚き付けるような言い方しちゃったんだから」
「俺は間違ったこと言ってねぇ
もう済んだって事なのにいつまでもうじうじしやがって
今、マーモンが生きていることには変わりねぇんだからよ
それでいいじゃねぇか」
「スクアーロはそれでもいいかもしれないけれど、ベルちゃんは違うでしょ?
幼い頃からマーモンちゃんが教育係として面倒を見ていたんだから
甘えられるお兄ちゃん的な立ち位置だったんでしょ、マーモンちゃんは
それが目の前で、しかも自分で命を絶った姿を見ちゃって…私だったら、立ち直れないかもしれないわ」
「筋肉ごりごりのてめぇが言うと気持ち悪いだけだぁ」
「ひどぉい!」
「…ったく」
くねくねと動きながら声を上げるルッスーリアを横目にスクアーロはため息をつく。
「それに、こんな事で立ち直れねぇくらいなら組織辞めちまえってんだ
もし部屋見てまだうじうじしてたら俺が辞めさせてやらぁ」
「もう…」
ベルの部屋の前へと辿り着いてスクアーロは軽くノックをする。
しかし、返事はなく物音一つしない。
「ルッスーリア、マーモンの部屋はどうだぁ」
中からの反応が無く、スクアーロはルッスーリアにマーモンの部屋を確かめるように指示をする。
しかし、隣にあるマーモンの部屋からも返事はなく鍵は閉まったまま。
「こっちは部屋閉まってるわ」
「そうか…お」
試しにドアノブを捻ってみると鍵がかかっておらず、そのままゆっくりと開けてみる。
部屋の中は電気がついておらず薄暗い。
「不用心だなぁ、出掛けるなら鍵くらい閉めろぉ」
部屋の中へと進んで行くと、ソファーの上で横たわっているベルの足が見える。
「ったく、こんなとこで寝て…」
呆れながら覗き込んでみると、マーモンを胸の中に抱きしめながら眠っている。
ルッスーリアは後ろから覗き込んで"あらあら"と微笑ましそうに眺めた。
「…ったく、心配損だな」
「ほんとね、これなら悪夢なんて見なさそう…」
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