とある日の夢のこと
「…ベル」
会議室から出てベルの部屋へと戻ってきた2人。
出てからの会話は一切なく、やはり朝同様にベルはソファーに座ってマーモンを膝の上に置いて向かい合うように抱きしめている。
部屋へと戻ってから数分は大人しく座っていたマーモンだったが、ベルの名前を呼びながら顔を上げた。
「そろそろ、この行動の意図を教えて欲しいんだけど」
「…」
ベルの目がマーモンを捉え、今日初めて目が合ったような気がする。
…あぁ、やっぱり。
ベル…。
「なんて顔してるのさ、君らしくもない」
ベルの悲しそうな、悔しそうな表情を見て困ったように笑いながらマーモンはベルの顔へとそっと手を伸ばして触れた。
「君でもそんな顔するんだね、王子様」
「…うっさい、馬鹿マーモン」
「ムギャッ」
ようやく自分に対して口を開いたと思っていたら憎まれ口で、マーモンを抱きしめる力を強めてフード越しにマーモンの額と自分の額をくっつけた。
「…お前、なんで勝手に死ぬんだし」
「それは、僕にはわからないよ
僕は未来の夢なんて見ていないからなにが起きたのか分かってないし」
「…人の目の前で死にやがって」
「へぇ、君の目の前で死んだんだ
どうだった?僕の死に様は」
「…うししッ」
マーモンが静かに微笑みながら質問すると、ベルは微かに口角を上げる。
「すげぇ無様だった、見るに堪えないほどな」
「そう…それはなにより」
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