僕に関心を


「お前とヴェルデって付き合ってんのか、コラ」  

とある日。
任務の帰りに街にふらりと寄ったマーモンは珍しくイタリアに来ていたコロネロと会った。
どうやら、コロネロも任務帰りだったらしく近くの喫茶店で世間話をしていた。
コロネロは驚いたように声を上げながらアイスティーの入ったグラスをテーブルへと置く。

「ケホッ…今の話の流れで、なんでそう思うのかな」

コロネロの発言にマーモンは飲んでいたレモネードをブッと吹き出し、咳払いをしながら口元をハンカチで拭う。

「いやだってよ、休みの日もほぼ一緒にいるんだろ?
そんで毎日連絡取り合ってるってよ」

「まぁ、確かに今日も一度アジトに戻ってからヴェルデの所行くけど…
僕が休みの日に行くのは彼からの治験の為であって、連絡取るのもその為さ
まったく、若い子はなんでもかんでも恋愛に繋げるよね」

フゥと小さく息を漏らすと、"いや、お前俺とそんな変わらないよな"とコロネロの突っ込みが入る。

「だけど意外だな、コラ
お前等がそんなに親しい仲だったとは」

「親しい…のか分からないけど
赤ん坊の姿に変えられた時、君達の前から姿を消したろう?
実は、ヴェルデの研究所にいたんだよ」

「あいつの?だから俺達が騒いでる時にあいつだけ妙に落ち着いてたのか」

「赤ん坊になってすぐ、僕は過去の自分を捨てて金稼ぎしながら呪いを解くためにあらゆる手段を尽くしていた
だけど、僕だけでは流石に資金集めに研究、なんて手が回らなくてね
そこで、偶然居合わせたあいつと協力関係に至ったのさ
"貴様一人ではどうにも出来まい、協力してやろう"とか上から目線で言われてくっそ腹立ったけど確かに一理あるな、と思ってね
それで僕は情報収集に資金集め、ヴェルデは研究と役割が完成したんだ」

「しっかし、お前とヴェルデって組み合わせはやっぱり意外だぞコラ
明らかに術師と研究者なんて正反対なのによ」

「確かにね、だから最初の頃は喧嘩してたよ
お互いがお互いに引かない性格だし
だけど、喧嘩しても仕方がないってそのうちお互い気付き始めてだんだんと」

「恋仲になったってわけか」

「おい」

「冗談だぞ、コラ」

「…」

ケラリと渇いた笑みを浮かべるコロネロにマーモンは小さくため息をつき、グラスのレモネードを一口飲んだ。

「だけど、なんで俺等に協力を仰がなかったんだ?」

「君達にどうこう出来る議題ではないからさ
リボーンはともかく、君とスカル、それに風は脳筋だからね
そんな脳筋共の頭を借りたところで結末は目に見えてるよ」

「至近距離でぶっ放してやろうか、コラ」

マーモンの言葉にカチンときたコロネロだったが、"自分もさっき茶化したしな"と思い留まり、落ち着かせるようにアイスティーを飲み干した。

「行儀悪いな」

「ッぷは…でもよ、そんなに永く一緒にいると変な雰囲気にならねぇの?」

「変な雰囲気?ってなにさ」

「そりゃ…ちょーっとムラついたり?
一時の過ちー…みたいなのだよ」

「そんなのあるわけないだろう?
ヴェルデはわからないけど、僕はそういうの興味ないし」

「あー、確かにマーモンはお金、ヴェルデは研究でそういうの満たされてそうだもんな…もしかして枯れて」

「君、そろそろいい加減にしないと怒るよ」

コロネロの発言を遮るようにローブから一本の触手を出しながら告げると、コロネロは"わーったよ"と両手を上げて降参の意を評した。

「全く…君やリボーンとは違うんだ、同じと思わないでほしいね…それに」

「…?それに、なんだよ、コラ」

ローブから出していた触手をしまい、マーモンはふとコロネロから視線を外して遠くを見つめた。










「あいつは僕に興味がないからね…今も、昔も」

     








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