いつから抱いた恋心


「お前は、あいつのことどうするつもりなわけ?」

「…どういう意味だぁ」

ベルの口から放たれる言葉にスクアーロは少し間をおいて口を開く。

「どういう意味もねぇよ
そのまんまの意味
お前わかってんだろ?」

前髪の隙間からスクアーロを捉える瞳がスゥと細くなり、なにかを訴えかけるようだ。









「あいつが、お前に惚れてんの」









「…」

「じゃなきゃ、お前が一回死にかけた時のことがトラウマになんてならねぇよ」

「…それは、お前がそうなったとしてもあいつはあぁなってた」

「いんや、お前だからだよ」

「んなのわからねぇだろ」

「わーかるって、どんだけ俺があのちびと一緒にいると思ってんの?
あいつのことはお見通しだから」

「はッ、よーくあいつのこと見てるじゃねぇか
そういうお前が、マーモンに惚れてんじゃねぇのか?」

「だったらなんなわけ?」

「!」

冗談交じりに言った言葉をベルが否定をせず肯定をし、スクアーロは微かに瞳を見開く。
ベルの様子を見てみるといつもと変わらない様子でスクアーロをジッと見つめていた。
ベルはめんどくさそうに息を吐きながら頭をかいた。

「だから俺からしたら本当に迷惑なわけよ
あいつが、俺の事見ないで他の奴に一喜一憂するの見てると
ほんっと…殺したくて仕方ないくらい」

「ッ」

いつものはにかみながらの笑顔。
しかし、殺意が含まれる言い方に空気がビリつくのを感じる。

「…んま、そーいうわけだから
お前があいつのことどーこーするつもりないなら王子が貰っちゃうっ、てだけ」

「…なんでいちいち俺の反応を見てんだ、お前
お前の場合、いつもの"俺王子だもん"発言でなにもかも掻っ攫おうとするだろぉ」

会話の中で違和感があった。
こいつの場合、人の事なんて普段気にすることなんてねぇ。
相手がなんだろうが欲しいものは殺してまで手に入れる。

「俺に勝てねぇからそう言ってんのか?」

「…はぁぁ、お前さ、ほんっと面倒くさいわ」

再度ベルの口から漏れ出るため息。
次の瞬間、ベルはスクアーロの懐に入るとナイフを首元に当てた。

「だぁれが、お前に勝てねぇって?」

にんまりと笑みを浮かべながら鋭い視線をベルはスクアーロへと送る。
スクアーロはそれをジッと見返すと、ベルはしばらくしてナイフを離した。

「別に王子はお前のこと殺してもいいと思ってんだよね」

「なら」

「だけどさ、やりたくてもできねぇの
あいつのあーんな顔見ちゃったらさ」

「…?」









"スクアーロの音は安心するし、好きなんだよね"










「うししッ、こればっか王子の特権だから教えてやんね」

ベルの言葉に疑問を抱いているスクアーロの表情を見ると、ニンッとはにかんで自分の唇に人差し指を当てた。

「…そんで、お前はどうすんの?
あいつのこと、どう思ってるわけ?」

再度同じ質問がされ、スクアーロは黙り込んだ。









「…俺は」










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