いつから抱いた恋心


「だぁぁ…くっそ、夜中に打ち合わせはきちぃ…」

スクアーロは眠たげに欠伸をし、身体を起こすように伸びをしながら廊下を歩いた。
窓から差し込む朝日が眩しく、瞳を細めてしまう。

マーモンと話してから早2日…あいつが今日帰ってくるはずだが…。
まぁ、まだどうせ帰ってきてな…。

「…あ"?なにしてんだ、ベル」

もう少しで自室、というところで部屋の前に人影があり、近付いて行き姿を確認するとベルがいた。

こいつ確かマーモンと任務中だったよなぁ…なのになんでここにいんだぁ?

「お前、任務はどうしたぁ?
流石にサボったわけじゃねぇだろなぁ?」

「あ、隊長ナーイスタイミング
お前にお届けもん」

近付きながら声を掛けるとスクアーロに気付いたのかベルが身体を向けると、なにやらおぶっていることに気付いた。
身に纏っているローブからそれがマーモンである事に気付き、スクアーロは瞳を見開き言葉を失う。

「う"ぉぉい、これはどういう事だぁ!
まさかお前等、任務ミスったわけじゃねぇだろなぁ!」

「ちーがうっての、証拠に俺とマーモン無傷だし?」

「ならなんでこいつこうなってんだぁ?
怪我とかは…」

「だーから無傷だって言ってんだろ馬鹿鮫
少しは落ち着いてくんね?」

少し慌てるスクアーロとは他所に冷静なベルに窘められスクアーロは口を閉ざす。
スクアーロが大人しくなったのを確認したベルは小さく息を吐いた。

「こいつ、今日はなにがなんでも任務速攻で終わらせるって効かなくてさ
いきなりなんだっけ…あーっと、触手の気持ち悪い奴出したり色々しまくって大変だったんだかんな
そーんで、早く終わるのはいいんだけどこいつ力使いすぎて気絶してるってわけ
本当はマーモンの部屋に置いてきてもいいんだけどさ、こいつうなされてっから」

「…うなされてる?」

ベルの言葉に疑問を抱いてそっと顔を近付けてみると、なにやら小さく唸っている声が聞こえる。

「なんだぁ?うなされるほど怖いことでもあったのかぁ?」

「…はぁぁぁ」

「な、なんだその反応はぁ?」

盛大にため息をつくベルに驚いていると、ベルはおぶっていたマーモンをスクアーロへと押し付けた。
スクアーロは"あ"?おい!"と戸惑いながらもマーモンを受け取って姫抱きをする。

「はい、あとはよろしくー」

「あ"ぁ?!ちょっと待てぇ!」

「待たねぇよ、つか王子じゃそいつの面倒見るの無理無理
スクアーロにしかできねぇ事だし」

「あ"?お前何言って」

「分かってんのにいちいち聞くなよ
お前、そんな鈍ちんじゃねーだろ?」

ベルにジッと見つめられながら問われ、スクアーロは考え込みながらマーモンへと目をやる。
先程うなされていたのが嘘のようにマーモンは眠りについていた。

「あー、お前等ほんっとめんどくせ
そんじゃ、王子任務終わりで疲れてっからあとはお好きにどーぞ」

スクアーロの様子を見たベルはわざとらしく息を吐きながら背中を向けてその場を足早に去っていった。

「…ったく、あんにゃろ…
そもそも、なんでこいつがそんなに…」

ベルを見送った後に再度マーモンの顔を覗き込むと、ふとフードの中の表情が見える。
その表情を見たスクアーロは眉間に皺を寄せた。
 

 






「…こいつ…」










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