おかしなお菓子にご注意を
「あぁ、なるほど…そういえば、フランがいたね」
マーモンは"んしょ"とパーカーから顔を出し、すでに着替え終わっている骸へと声をかけた。
確かに、フランはそのくらいの年齢だったし、骸とそんなに背丈は変わらなかったはず。
今着ている服も、変に丈が短かったり、長かったりしていない。
彼には、確かにちょうどいいサイズ感だろう。
…"彼には"、だけど。
「…ふむ…やはり、貴方には大きすぎますかね」
「…」
パーカーの後に履いたズボンがずり落ちないように、ギュッと手で握りしめてぷるぷると震えるマーモンを見ながら、骸は腕組みをして言った。
「貴方、本当に10歳ほどですか?」
「う、うるさいな…
あいにく、僕は体格に恵まれなかったし、成長もゆっくりだったから仕方ないんだよ」
「これでは、ただの変態になってしまいますね
まぁ、物好きはいるかもしれませんが
オーバーオールでしたら、裾を捲くればいいだけですのでそうしましょうか」
クローゼットを漁りながら骸は言い、お目当てのオーバーオールを見つけるとマーモンに差し出し、マーモンはそれを受け取りながら口を尖らせる。
「…どうせ、僕は足が短いですよ」
「別にそうは言ってません
まったく、子どものように拗ねないでいただきたい」
「現状、子どもなんだけどね」
「いいから、黙って着替えなさい」
「君から言ったくせに…」
そう言いながら渋々ほぼ履いていないに等しかったズボンを脱いで、オーバーオールに足を通す。
ボタンを止めて、骸へと向き直ると"少し待ってください"と、裾部分を捲くるように折り始める。
「ねぇ、そのくらいできるよ」
「…すいません、ついフランと接するように…」
はた、とマーモンの声に気付いたような反応をする骸。
とりあえず、足元を整え終えたのか、骸はしゃがんでいた状態から立ち上がり、マーモンを足元から頭の方まで見て、満足そうに口元に笑みを浮かべた。
「くふふ、これならば大丈夫でしょう
我ながらいいセンスです」
「センスとかそういうのは分からないけど、まぁ、ありがと」
全身鏡の前に立ち、自分の今の身なりを確認してみる。
白いパーカーにオーバーオールというシンプルな服装。
少し大きめだが、これなら動きやすいだろう。
「…さて、本題に入ろうか」
「えぇ、そうですね」
骸へと向き直り、マーモンはそう言いながらソファーへと腰掛ける。
それにつられて、骸もマーモンの隣へと座った。
「それじゃ、ちょっと念力使ってみるか…」
テーブルのお菓子へと向かって手を伸ばし、ゆっくりと瞳を閉じて頭の中で念じてみる。
…なんか、いつもと感じが違うのは確かだ…。
だけど、幻術を使おうとした時みたいな…拒絶する感じは無さそう…。
「んむ…むむむ…」
念じて少しすると、クッキーの入った箱が微かに揺れ始める。
…あと…少し…ッ。
カタッと、少し箱が浮く感覚に手応えを掴む。
「やっ」
超能力が使える。
そう確信した瞬間…。
パッ。
「…マーモン?」
マーモンの姿が、その場から消えた。
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