おかしなお菓子にご注意を


「幻術が使えない?」

骸の発言にマーモンは骸へと身体を向けながら聞き返す。
骸は自分の掌をジッと見つめたまま、眉間に皺を寄せた。

「えぇ…なぜでしょうね
この年でしたら、今と同等までいかずとも、半分以上の力は使えたはず
マーモン、貴方はどうです?」

「僕?ちょっと待って」

目の前へとスッと手を伸ばし、瞳を閉じて頭の中で念じてみる。
しかし、シンッとその場は静まり返り、特に変化は見られない。

「…どうです?」

「…だめだ、とりあえず幻術使えるかと思ってやってみたけど
君と同様、使えないみたい」

「ふむ…個々の能力自体使えなくなってしまったようですね」

「個々の能力…生まれつきの能力だったらどうだろうか
例えば、僕の超能力とか」

「それは興味深い
試しにやってみてはどうです?」

「その前に、写真
なにが起きるか分からないから」

そう言いながらスマホを骸へと見せ、ススッと骸へと距離を縮めるように肩を寄せる。

「ちょっと、近いのですが」

「仕方ないだろう?
二人一緒に撮っちゃったほうがラクだし」

「いや、明らかに片方が撮ってを繰り返したほうがラクでは?」

「いいから、むむ…ねぇ、これどうやってカメラをこっち向きに切り替えられるの?」

「えっとですね…このボタンを押せば…あ、出来ました」

「あぁ、ありがと
やっぱりこういうのは若い子の方が詳しいね」

「まぁ、貴方よりは若いですが…
若いというだけの話ではない気がします
ほら、もう貸してください
僕が撮りますので」

「そう?なら頼むよ」

少し呆れが混ざったような表情をしながら手を差し出す骸に、自分の持っていたスマホを手渡した。

「はい、こっち向いてください」

「ん」

スマホの画面を覗き込むように見ていると、"カシャッ"とシャッター音が聞こえ、驚いてしまいギュッと瞳を閉じてしまう。 
撮れた写真を確認した骸は、"ふふッ"と笑みをこぼした。

「ねぇ、ちゃんと撮れた?」

「えぇ、貴方が目を瞑っている以外は完璧に撮れました」

「むむむ…あんまり写真って、撮れ慣れてないからね…見せて」

"はい、どうぞ"と骸から渡されたスマホの画面を見てみると、先程撮った写真が画面に映し出されている。
骸の言った通り、自分の瞳が閉じられている以外は何の問題もない。

「…まぁ、別にいいや
このまま送っちゃおう」

「おや、いいんですか?」

「うん、ちゃんと見せたい体の部位は写ってるし、撮り直すのもめんどくさいし」

タタッとスマホを操作して文字を打ち込んだ後、写真をヴェルデへと送信する。
するとすぐに確認をしたのか、ヴェルデからの返信がすぐに来た。

「あ、返事きた」

「おや、早いですね…彼はなんて?」

「えっとね…
"無事に成功しているようでなによりだ
引き続き頼むぞ"…だってさ」

「…頼むとは?」

「あ、そうだ伝え忘れてた
実は、これはもともと治験にと僕に頼むやつだったみたいでね
君も、報告とか一緒にしてくれるならお金くれるって」

「僕を使おうとするなんて、なかなか考えますね、彼も
まぁ、いいでしょう
本日は特に予定もありませんし、マッドサイエンティストに付き合ってあげます」

「わかった、伝えておくよ
骸も協力してくれるって…っと…」

再び送信すると、間髪入れずに返信が来る。

「あ、来た」

「今送ったところですよね?彼、張り付いているんですか?」

「いや、たぶん自動返信とかじゃないかな?
"了解した。あと、服をどうにかしろ
見苦しい"…って…あいつ」

「まぁ、確かに彼からしたら、他人のこの姿は好まないかもしれませんね」

骸の言葉に、マーモンは自分の今の服装をまじまじと見る。
サイズがあっていないせいで、ところどころはだけてしまい、肌が見えてしまっている。


確かに、これは見苦しい。
よくよく考えると、ズボンもサイズが合ってないから履いていないに等しくて、ほぼ上のシャツで隠れているようなもの。


「そうは言ってもね…
そうそう、このサイズの服なんてあるわけない」

「それに、今は幻術も使えませんからね
この姿で街を出歩くわけには……あ」

「なに?なにかいいアイデアでもあるの?」

「…いえ」













「ちょうど、今の僕くらいのサイズだったらあるな、と思いましてね」

「…?」











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