おかしなお菓子にご注意を
「珍しいじゃないか、君から僕に連絡するなんてね」
日本にある、骸が拠点としている黒曜ランド。
そこにやってきたマーモンは、骸に部屋へと入るように促されると話しかけながら中へと入っていく。
「イタリア産のチョコレートが食べたくなりましたので」
骸の返事が聞こえると同時に、パタン、と扉が閉まる音が聞こえる。
「僕は別に、君のお菓子運搬係ではないんだけれど?」
「クフフ、分かっています
本来の貴方の目的は、"この子"、ですからね」
そう言いながら、骸がソファーへと視線を向けて、マーモンもつられてそちらへと顔を向けた。
そこには、うつ伏せになりながらお菓子を食べているフランの姿があり、骸とマーモンの存在に気付いたのか、フランの顔がゆっくりと上げられる。
まだ幼さが残るその顔を見て、マーモンは瞳を細めた。
…僕が今回ジャッポーネに来た理由。
それは、骸の弟子であるフランの現状を確認するため。
詳しくは知らないけど、10年後の世界では僕の代わりにヴァリアーで幹部をしてたらしいけど。
「こうしてちゃんと見るのは、僕初めてなんだよね
虹の代理戦の時は、僕と君達…ヴェルデのチームと戦わなかったから」
「その後のバミューダとの戦いも、フランは貴方がいる場所とは別で、クロームと共にいましたからね
フラン、こちらに来なさい」
「…なんですかー、ししょー
みー、今忙しいんですけどー」
骸に声をかけられ、めんどくさそうに上体を起こすフラン。
フランはそのままソファーから降りると、骸の隣へと渋々歩いていき、マーモンと目が合うとジトリとした目つきで見上げだした。
「…」
「…」
なんで僕、こんなに見られてるんだろう…。
「…なんでこの子、僕のこと見てるの?」
「さぁ、僕には分かりませんね
フラン、彼のことをそんなに見るのはお止めなさい」
「…いやー、なんででしょーねー
この人と会ったの初めて?なんですけどー…なんか…こー…
この人のせいで、前に理不尽な目にあったような記憶がないよーな、あるよーなー…」
「理不尽な目…?」
なんだろ、僕としてはなにも思いつかない。
あるとすれば、10年後の世界での出来事だろうけど、あいにく僕にはその記憶はない。
「…そもそもの話、この子、未来の記憶はないんだよね?」
スクアーロがそう言っていたような気がする。
僕はその時、リボーンからの手紙でそれどころじゃなかったから、その場にずっと立ち会っていなかったし、あとで又聞きしたんだけど。
「えぇ、そうです
チーズの角で殴られて、未来の記憶を無くしたようです」
「チーズの…角…?」
チーズって、そんなに殺傷能力あるほど危ないものだっけ?
「…まぁ、いいや
この後、君とお菓子パーティーする予定だからね
さっさとこの子の今の実力を確認するとしよ…」
そう言いながら、フランへと再度視線を向けようとするも、先程までいたであろう場所に、フランの姿が見えなくなっていた。
「あれ?フランは」
「…」
骸へと顔を向けると、骸はスッと部屋の扉の方へと指を差し、それにつられてマーモンは顔を扉へと移した。
すると、フランが扉越しにひょこっと顔を覗かせており、マーモンと目が合うと"んべ"と舌を出す。
「どこの骨のカエルか知りませんけどー
みーの今日の修行はもう終わってるんでー
遊び、行ってきまーす」
そう言い残すと、出していた顔が引っ込められて"タタタッ"と走り去る足音が廊下から聞こえ、その後はシンッと静かになってしまった。
「おやおや…あの子はあとで仕置きが必要ですね」
「…その割には君、あの子のこと捕まえようとしてなかったじゃないか」
「クフフ、何のことでしょうか
さて、お菓子パーティーの準備でもいたしましょうか」
そう言いながら骸はマーモンへと背中を向け、"お菓子持ってきます"と伝えて部屋から出ていってしまい、その後ろ姿を見ていたマーモンは小さくため息をついた。
「まったく…結局はあいつも、年相応ってことだね…」
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