隠してしまいたいこの姿
「すまないね、戻るの遅くなって」
スクアーロの部屋へと戻り、テーブルに書類を置きながらマーモンはソファーへと腰掛けるスクアーロに言った。
「まったくだぁ、ただ書類置きに行くだけなのに1時間もかかってんぞ
ボスの機嫌でも損ねて、カッ消されたのかと思ってたぜ」
「1時間…そんなに経ってたんだ」
思っていたよりも、ザンザスの部屋にいた時間は長かったらしく、マーモンは壁にかけられた時計へと目を向けた。
もう夕方か…。
ボスにサイン貰えたのはいいものの、他に見る書類が山ほどある。
「…今夜も、寝る時間は遅くなりそうだね」
「いや、そうでもねぇよ
急ぎのやつは、お前がボスの所に行ってる間に済ませたからなぁ
後は明日やっても間に合う」
「へぇ、僕がいなくてもちゃんと出来るんじゃないか
それなら、僕はお役御免かい?」
「んなわけあるかぁ、今回がいつもより少なかっただけで、お前いないと回らねぇよ」
口元に笑みを浮かべ冗談めかしに言うと、スクアーロは深くため息をつきながら答えた。
マーモンはそんな様子のスクアーロを微笑ましそうに眺めた後、先程までスクアーロが見ていたであろう書類へと目を通す。
…本当だ。ちゃんと確認してある。
これなら、今晩はゆっくりスクアーロと…。
「…お前、ボスんとこで何してたんだ?」
「ム?」
書類を再びテーブルへと戻し、スクアーロの横へと腰掛けようとすると不意に聞かれ、マーモンは顔を向けた。
マーモンの視線に気付いたのか、スクアーロはスッと視線を逸らしてテーブルへと向ける。
「何って?」
「書類渡すだけだってのに、1時間もボスの部屋にいただろがぁ
さっきも言ったが、カッ消されたんじゃねぇかと思ってたが、怪我とかもしてねぇようだし」
「あぁ、そういうことか
別に大したことはしてないさ、ただ僕がやらかしただけ」
「やらかし?」
「そ、やらかし」
「やらかしたんなら、なおさらお前がなんで無傷なのかが気になんだが」
「…」
確かに。
「んで、なにやらかしたんだよ?」
「ムムッ…と…」
とりあえず座ろうと思い、腰を下ろそうとすると、スクアーロに脇を掴まれてそのまま向かい合うように太ももの痛み上へと座らされてしまう。
「ねぇ、危ないし重いだろう?」
「重くねぇよ、むしろもっとちゃんと食え」
「…まぁ、善処はするよ…って、今度はなに?」
バランスを崩しそうになり、ギュッとスクアーロの服を掴んでバランスを整え不満げに言うも、さらりと流されてしまう。
渋々ながら返答をすると、今度は首筋に顔を埋められてしまい、マーモンはその行動の意味が分からずに首を傾げた。
「…ボスの匂いがする」
「ボスの匂いって…そんなのしないと思うんだけど」
スクアーロの言葉に、マーモンは自分の着ている服をスンッ と嗅いでみる。
しかし、これと言って誰かの匂いがついているような感じではない。
「お前の匂いじゃねぇのは確かだ」
「僕の匂いってどんな匂いさ?」
「柑橘系っぽいような…甘いような…
柑橘系と菓子の匂いが混ざったような感じって言えば分かるかぁ?」
「柑橘系は当たりだね、僕がつけてる香水柑橘系だから
お菓子の匂いはなんでだろ」
「いつも食ってばかりだし、ルッスーリアが焼き菓子焼いてる時に一緒にくっついてるからだろ」
「あぁ、納得」
スクアーロの言う通り、お菓子しょっちゅう食べてるし、匂いがつくのは…いや、洗濯してるからそうそうつかないと思うんだけど。
「…ボスの匂いがついてるのは…あ、そっか」
「なんか思い当たる節でもあんのか?」
そうだ、心当たりが1つあった。
「ボスにくっついてたから、それでなのかも」
「…あ"?」
→
