隠してしまいたいこの姿
「…お前ら、なにしでぇッ?!」
「?!」
スクアーロはザンザスとマーモンの座るソファーへと近付き、瞳を細めて声をかけると、どこからともなくグラスが飛んできてスクアーロの頭へと当たり、痛みと驚きの声が部屋の中へと響いた。
「ッ〜!!」
「ス、スクアーロ、大丈夫かい?」
グラス?!どこか…ら…。
痛みから頭を手で抑えだすスクアーロに慌てて駆け寄り、マーモンは床に落ちたグラスへと目を向けて出所を探す。
すると、先程までザンザスが使用していたであろうグラスがテーブルの上から無くなっており、マーモンは察したかのように"あ、ボスか投げたのか…"と遠い目をした。
「てめッ!」
「勝手に入るな、カス鮫」
グラスの中身が空だったために濡れることはなく、スクアーロは頭を押さえたままザンザスを睨みつけるも、ザンザスもそれに怯まずに睨み返し、ソファーへとボフッと勢いよく横たわった。
「んなもん今更だろがぁ!
それにお前の場合、だいたい無視するか寝るかして反応ねぇんだから入った方が早いんだよ!
お前の普段の行いが悪いのが…ッゔぉ?!」
あぁ、また…。
スクアーロ、余計な一言を…。
スクアーロの言葉を聞いて、ザンザスがテーブルに置いていたペンを横になったままスクアーロに向かってシュッと投げる様子を見たマーモンは、いつもの光景に小さくため息をついた。
とりあえず、これ以上は僕も巻き込まれかねないし。
早めに止めに入ろう。
「スクアーロ」
「あ"?!」
クンッとスクアーロの服の裾を掴んで引っ張り名前を呼ぶと、スクアーロは息を荒くしながらマーモンを見下ろした。
「書類、ボスが全部サインしてくれたから戻ろうか」
「ざけんなぁ!まだ俺はこいつと」
スクアーロの元から離れ、テーブルに置いていた書類を手にしながら告げると、まだ怒りが収まらないのかビシッとザンザスを指差しながら声を荒げる。
「ボス、書類ありがと
お昼寝邪魔してごめんね」
「…」
書類の束を抱き抱えながら、ソファーに横たわり昼寝を再開しようとしているザンザスの顔を覗き込みながら声をかけた。
すると、ザンザスの瞳が軽く開かれ、マーモンに向かって手を伸ばしだす。
わしゃ。
「ッ?」
え…?
ザンザスの手はマーモンの頭へと乗せられて、軽く頭を撫でるような仕草をすると、"ふぁ…"と眠たげに大きな欠伸をして瞳を閉じ、マーモンへと背中を向けた。
…なぜだか知らないけど、撫でられた。
自分の頭に触れたザンザスの手の感触が頭に残る。
触れられた箇所に手を触れようとすると、いつの間にか隣に来ていたスクアーロに手首を掴まれた。
「ムム、スクアーロ?」
「…ほら、戻んぞ
また起きたら面倒くさいことになりそうだしなぁ」
「え、あぁ…そうだね
まだ書類残っているだろうし」
自分の手を引きながらザンザスの元から離れ、部屋から出ていこうとするスクアーロの後を数歩遅れてついていきながら、マーモンはチラリとザンザスの方へと目を向けた。
すると、もう寝始めたのか小さく寝息が聞こえてくる。
…なんだったんだろうか…。
…まぁ…。
「カッ消されなくて、よかった…」
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