いつから抱いた恋心


「ム、今日もだめなの?」

「あ"ぁ」

夜、スクアーロの部屋へと訪れたマーモンは隊服を羽織るスクアーロを見ながら声を上げた。

「最近君、夜にいなくなること多くないかい?
もう1週間も一緒に寝てないよ?」

「仕方ねぇだろぉ、ボンゴレ本部との打ち合わせがあんだぁ
こればかりは避けて通れる事じゃねぇ」

「ムムム…しかも、最近僕も夜中の任務が多いし」

「それは任務内容的に仕方ねぇこった
あまり派手めにやるもんばかりじゃねぇからな、夜にやるのが最適だ
明日の夜はお前、ベルと一緒だろぉ?
ちゃんとお守りしとけぇ」

「…」

マーモンは不満げにムスーッと頬を膨らませてスクアーロを見上げると、スクアーロは大きなため息をついた。 

「う"ぉぉい、いい大人が拗ねんなぁ」

「…拗ねてない」

「拗ねてんだろぉ…ったく
この1週間でお前も一人で寝れるようにはなってんだろぉ?
顔色良さそうだし、隈もねぇしな」
  
「ムム…」

マーモンの頬へと手を伸ばし、顔色の良さを確認しながら目元を指でなぞるように触れる。
以前あったようなひどい隈なんてものはなく、健康状態は良さそうだ。
その様子にスクアーロは少し安堵の息を漏らすと、マーモンがジッと見上げていることに気付いた。

「ねぇ」

「なんだぁ」

「やっぱり、迷惑だったかい?一緒に寝るの」

真っ直ぐな瞳で問いかけられ、その瞳をジッとスクアーロは見つめ返した。

「迷惑だったら一緒に寝てねぇよ」

「ムム、ならなんで最近は寝てくれないのさ」

「そりゃ、タイミングがわりぃだけだぁ
ここ最近はお前等の代理戦やって以来、あっちからの接触が増えてきたんだからよ
それに、任務の件だってそうだぁ
別にお前の事避けてるわけじゃねぇから安心しろ」

「ム…」

目元に触れていた手を頬へと移動させ優しく指で撫でると、その手にすり寄るようにマーモンは頰ずりをする。
その様子が猫のようで、思わずスクアーロは"ぶはッ"と吹き出した。

「お前、俺と寝れねぇのがそんなに寂しいのかぁ?」

「うん」

茶化すような口振りで言うとマーモンの口からサラリと返事がされてスクアーロは思わず動きを止めてしまう。

「…う"ぉぉい、お前がそう言うなんてなんか企んでんのかぁ?」

「君、失礼だね
君が聞いてきたんじゃないか
それよりも、時間…大丈夫なのかい?」

チラリとマーモンが壁掛け時計に視線を向け、それを追うようにスクアーロも時計を見るとそろそろアジトを出る時間だった。

「っと…そろそろ時間だな
俺がいねぇ間頼むぜぇ?」

「あぁ、わかっているさ
おそらく無いとは思うけど、なにかあった時の指揮官は僕でいいんだろう?」

「どうせボスは動かねぇしなぁ、てめぇに任せる」

「ム、了解
まぁ…気を付けて行ってきなよ」

「お"ぉ」

部屋から出ていくスクアーロの後を追い、後ろからマーモンも部屋から出てスクアーロの背中をジッと見つめた。

「スクアーロ」

「あ"?なんだぁ」

名前を呼ばれてスクアーロが振り返ると、マーモンはぱたぱたと近寄っていき服の背中部分をギュッと軽く握り締めた。

「おい、もう行」










「…いい子にしてたら、また一緒に寝てくれるかい?」










俯きがちに言うマーモンの言葉に軽く瞳を見開いた後、スクアーロは乱雑にマーモンの頭を撫で回した。

「ッむぎゃ!ちょ、やめてよ!」

「…ったく、お前って奴はよぉ」

「…?なにさ」

スクアーロの言葉の意図がわからないのかマーモンは不思議そうに見上げていると、スクアーロは口角をあげて笑みを浮かべた。










「てめぇがいい子だなんて笑わせらぁ」










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