隠してしまいたいこの姿
「ボス、いるかい?」
ザンザスの部屋の前へと来たマーモン。
手に持っている大量の資料の束を落とさないようにと抱きかかえ直し、一呼吸を置いてから"トントンッ"と数回ノックをしながら声をかける。
しかし、中からの返事はなく、マーモンは"ムム…"と小さく声を漏らした。
ボス、不在…なわけないか。
基本的には表に出ていかないし。
そうなると、お昼寝か、はたまた不機嫌か…どうしよう。
スクアーロに頼まれて、ボスのサインが必要な書類持ってきたんだけど。
"うーん"と扉の前で数秒間考え込んだ後、マーモンはドアノブへと手を伸ばす。
まぁ、いいか。
いざとなれば瞬間移動で逃げられるし。
さっさと渡して、さっさと出ていけば。
まだスクアーロのところに書類あるから手伝わないと…。
「ボス、入るよ…」
ドアノブを回すと、鍵が閉まっていないのか簡単に開いた。
小さな声量で声をかけながら、眠っているかもしれないザンザスを起こさないようにと静かに入っていく。
中へと歩いていくと、ソファーの上で横たわっているザンザスの姿があった。
やっぱり…。
隣まで近寄り、しゃがんで顔を覗き込んでみると、やはり眠っているのか瞳は伏せられて小さく寝息が聞こえてくる。
お昼寝だったか、予想はついてたけど。
…あ、でもスクアーロが頼んでいた書類はちゃんと見てある。
小さく息を吐きながら近くのテーブルに視線を向けると、ザンザスのサインが書かれた書類が置いてあり、自分の手にしていた書類の束を置いて、その書類を手にして軽く目を通した。
…うん、大丈夫そう。
これはもらって、今持ってきた書類置いとけばわかるかな。
さてと、ボスが起きる前に部屋から…。
サインの入った書類を手にして部屋から出ようとするが、ふと同じテーブルに開いたままのボトルと飲みかけのグラスが置いてあることに気付いた。
「ボスってば…蓋開けっ放し…」
下手すると、ボトルが倒れて書類が大変なことになりそう。
そうなった時のスクアーロの怒る様が頭に浮かぶ。
「…仕方ない、蓋だけでも閉めておこう」
そう思い、マーモンは自分の手にしていた書類を再度テーブルへと置いた後、開いたままのボトルと蓋を代わりに手にした。
う…ッ…アルコールの匂いがすごいな…。
これ、いったいなんのお酒なんだろ…。
ボトルから香ってくるアルコールの匂いにマーモンは思わず顔を顰めながら、ボトルに表記されている名前を見る。
ウイスキーか…だから、こんなに強い匂いが…。
匂…い…。
にお…。
…あれ…頭…なんか…くらくら、し…。
バタンッ!
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