甘さに勝る、ものはなく


「…なんか、高級そうなものが入っていそうなんだけど…ジュエリーか何かかい?」

箱の中から出てきた黒くて小さなケースを見つめながらマーモンはそう言い、一度手を止めていた。

「まぁ、そんなもんだな」

「…君にしては珍しいね、お菓子かと思っていたんだけど」

「最初は菓子にしようかとしたんだが、お前の場合ここら一帯の菓子とかは大抵食ってそうだし、うまそうなもん取り寄せにしようかとも思ったんだがそれもやってそうだったからなぁ」

「それはそうだね、新作とか出たらすぐに食べたりしてるし」

「だろ?
それでまぁ…街ふらついてたら、ジュエリーショップが目に入って、なんとなく中に入ったらお前に合いそうなもんがあったからこれにした」

「ふぅん…なるほど
君自体、ジュエリーとかそういうのって普段身に着けないから意外だね」

「普段つけてたら邪魔になんだろ、ヴァリアーリングはともかく
ネックレスとかそういうのは、髪に絡まるしなぁ」

自分の毛先を指で摘みながらスクアーロは言い、開けるのを中断しているマーモンを見た後、スクアーロはケースを手に取りマーモンの手のひらへと乗せる。

「ほら、早く開けろ」

「ムム…なんか気恥ずかしくて…君からこういう系のものもらうっていうのがさ」

「どうせ俺の柄には合わねぇよ」

「そういう意味じゃなくて
君、ジュエリーを人にあげる意味…分かってるのかい?」
 
「…」

…意味…ねぇ…。

ジトリとした目つきで自分を見上げてくるマーモンの視線をスクアーロはジッと見つめ返す。

「…俺が、んなもん分かると思うか?」

「思わない」

キッパリとスクアーロの言葉に返答をしながらも、ゴシゴシと目元をこすり始めるマーモン。
その様子を見て、小さく息を漏らすとスクアーロはケースへとソッと手を乗せた。

「だろ?それか俺が開けたほうがいいか?」

流石に今まで起きてて眠くなったし、早く渡して寝るとするか。
マーモンも寝てねぇようだしな。

「…ならさ、僕目つぶってるから…付けてくれる?」  

「あ"?」

問いかけに少し間を空けた後、マーモンの口からそう返事が聞こえる。
スクアーロが不思議そうに声を漏らすと、マーモンは空いている片手でフードをパサッと脱ぎ、露わになった瞳をゆっくりと閉じた。

「はい、お願い」

「…ったく…お前の考えてることは、つくづく分からねぇな」

「お互い様さ、僕だって君が何を考えているのか、思っているのか分からないから」

瞳を閉じたまま告げるマーモンの言葉を聞き、スクアーロはふと一瞬目を伏せるとケースの蓋を静かに開ける。

「あぁ、そうだな…」











「確かに、お互い様だ」











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