甘さに勝る、ものはなく


「ギリギリ、君の任務前にアジト着いたね」

数時間後、アジトへと戻ってきたマーモンは自分の隣を歩くベルへと疲れたような声色で声をかける。

「別にギリギリじゃなくね?」

「ギリギリでしょ、君の任務先までの時間、考えなよ」

「んなもん余裕だっての、だって俺王子だし」

…よかった、いつも通りのベルだ。

いつものはにかむ様子にマーモンはふと安堵の笑みを浮かべた。

お寿司食べてジャッポーネから帰る前、ベルの様子が少しおかしかったけど…戻ったようでよかった。
そんなにバレンタインの時にあげたチョコが好みじゃなかったのかな?
王子だからなのか、結構高級志向だし。
僕からしたらあのチョコも高級だったんだけど。

「んじゃ、王子任務の用意するから」

「厶」

ベルの足が止まり、数歩先で歩みを止めてベルの方へと振り返るといつの間にかお互いの部屋の近くに来ていたのか、ベルは自分の部屋の前へと立って指さしている。

「いつの間にか部屋まで来てたんだ…気付かなかったよ」

「なに?考え事?」

「まぁ、そんな感じ
寝るのなら少し経ってから起こしてあげるけど、どうする?」

「寝る必要ねぇっての、このまんま行く」

「…若いね」

「ししッ、お前よりはまだ若いから
お前はどーすんの?」

「流石に寝るよ、君みたいに若くないから少し寝ないと…」

ずっと我慢していた眠気が押し寄せてきてしまい、"ふぁ…"と欠伸が漏れ出てしまう。

「へぇ、今日スクアーロの誕生日なのに余裕じゃん?マーモン」

「…」

…は…?

頭の後ろで腕を組みながら自分を見下ろすベルの言葉。
その言葉にマーモンはピタリと動きを止めた。

誕生日…って言った、今?スクアーロの…?

「ほんじゃ、ばいびー」

「え、あ、ちょ、待ってベ…!」

自分のことなどお構いなしに部屋の中へと入ってしまうベルを慌てて引き留めようとするも、ベルはそのまま部屋の中へと入っていってしまい、伸ばした手は行方を失ってしまう。












た、誕生日…。












「わ…忘れてた…」











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