甘さに勝る、ものはなく
「あらあら、行っちゃったけどよかったの?スクアーロ」
ベルとマーモンが談話室から出ていき、残されたルッスーリアとスクアーロ。
ルッスーリアから問われ、スクアーロは小さく息を吐き出しながらソファーへと腰掛ける。
「別にいいだろぉ、ベルのお守り出来るのはマーモンだけだしな」
「んー、でもジャッポーネに行って何しようっていうのかしら
ホワイトデーのお返し」
…ん?
「…ホワイトデー?」
ルッスーリアの発する単語に、スクアーロはピクッと反応を示して顔を向けた。
「なんでも、マーモンちゃんからバレンタインでなにかもらったみたいで、そのお返しにジャッポーネに行くんですって」
「…」
"ジャッポーネでなにするのかしらね〜"と椅子に腰掛けながら言うルッスーリアから目を離し、スクアーロは"あー…"と声を漏らし顔を手で覆い隠す。
…やべぇ…忘れてた。
「あら、どうしたのスクアーロ?」
「いや…なにも…」
…すっかり忘れてた。明後日ホワイトデーじゃねぇか。
バレンタインの時、マーモンが俺に渡す用のチョコ食っちまってマーモン自身を頂いたわけだが…この場合、何を返すのが正解なんだ?
無難に返すなら…あいつの場合、甘いものとかそこら辺になるな…。
顔を隠していた手の指のすき間からチラリとルッスーリアへと視線を向けてみる。
「なぁに?」
「…マーモンって…甘いものだとなにが一番好きか分かるかぁ?」
「んー、そうねぇ…」
突然の問いかけにルッスーリアはきょとんとした後、スクアーロの言葉の意図を察したのか微かに笑みを浮かべながら頬に手を当てて考える素振りを見せた。
「基本的に、甘い物だったらなんでも食べるわよ?
マフィンでも、パンケーキでも
だけど、強いて言うなら…やっぱりチョコ系じゃないかしら
あの子術士でしょ?それで、頭を結構使うからすぐに糖分を取れるチョコを好んで食べているわね
そんなに大きくないから荷物にならないし」
「俺はあまり食わねぇから知らないが、種類とか結構あんだろ?マーモンが好きそうな味とかは?」
「特に好んだりしている味…私が出すお菓子とか、自分で買っている物とかは結構種類豊富だからそこまで一番好きなものがあるのかーと言われると困るわねぇ…」
ルッスーリアの視線が思い出すかのように宙へと向けられ、その様子を見ていたスクアーロはルッスーリアから視線をそらす。
「…お前で好みが分からねぇとなると、他に分かるのは…」
「ベルちゃんくらいになるわねぇ
マーモンちゃんがベルちゃんの事を分かっているように、ベルちゃんもマーモンちゃんの事分かっているから
言うなれば…相思相愛、かしらね」
「…相思相愛…」
あいつとベルが…相思…相愛…。
「マーモンちゃんが大人に戻っても、赤ん坊の姿の時と変わらずに仲良しさんで……ちょっと、スクアーロ」
悶々と考え込んでいると、ルッスーリアの視線が自分に向けられていることに気付きチラリと顔を向ける。
「あ"?なんだぁ?」
「顔、怖いことになってるわよ?
ボスのわがままでぶち切れてる時とは違う、こわーいお顔」
「どんな顔だよ、それはよぉ」
眉間の皺を指差しながら伝えられ、スクアーロは自分の眉間に触れてみる。
すると、眉間に皺が寄っていることに気付きため息混じりに返事をした。
「スクアーロも結構ヤキモチ妬きよねぇ、ベルちゃんには負けるけど」
「たりめぇだ、ベルとは違って俺は大人だからな
そういうのは表に出さねぇよ」
「あら、それじゃ表には出してないだけで、結構内心はジェラってるってこと?」
「…」
こいつと話してると、余計なことまで話しちまいそうだ。
「…お前と話してても埒が明かねぇ、部屋戻る」
ゆっくりと立ち上がり、談話室から出ていこうとルッスーリアへと背中を向けて歩き出す。
「んもぅ!スクアーロから話ししてきたんじゃない!
もう少し恋バナしましょうよ!」
「恋バナって程の話じゃねぇだろぉ」
チラリとスマホの画面を確認してみると、まだ朝のために時間はたっぷりとある。
…少し、探してみるか。
「俺も少し出てくる、留守番頼むぜぇ」
「あらあら珍しい
なにかあったら連絡するから、ゆっくりしてきなさいな
ボスのことも安心して任せてぇ!」
意気揚々と言うルッスーリアの言葉を聞いた後、スクアーロはヒラリと手を振りながら談話室から出ていった。
…さて…。
「…あいつの好きそうなの、見てくるかぁ」
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