甘さに勝る、ものはなく


「あら、2人ともお出かけ?」

出かける前に一声かけようと談話室に立ち寄ったマーモンとベル。
ちょうどそこには、焼き菓子がのったお皿を手にしたルッスーリアの姿があり、2人の姿を見てそう声をかけてきた。

「うん、ちょっとベルとジャッポーネに行ってくる」

「いいわねぇ、私も一緒に行っていいかし」

「行くわけねぇじゃん、分かりきったこと言うなよオカマ」

「んもう、つれないわねぇ!」

身体をくねらせながら言うルッスーリアの言葉をキッパリと言い放つベルを見て、マーモンは"まぁまぁ"となだめだす。

「だけど、ジャッポーネに何か用事?
任務とかってわけじゃないわよね?」

「僕もなんでジャッポーネなのか分からない
ホワイトデーの仕返しに、ジャッポーネに行くことになってね」

「ホワイトデー?まだ早いけど…って、ベルちゃん当日は任務入ってたっけ
でもホワイトデーにお返しあげるなんて、珍しいわねぇ!
そういうの、あんまり興味ないかと思っあぶなぁ!!」

ベルの事をからかうような口ぶりで言っていると、瞬時にルッスーリアの方へとナイフが投げられ野太い声が談話室内へと響き渡った。 

「ベルちゃんってば照れちゃ」

「まじ黙れよ、お前」

「ゔぉぉい、お前らなに朝から騒いでんだぁ!
廊下まで聞こえてんぞ!」

「!」

ベルがさらにナイフを投げようと懐に手をいれると、談話室の扉が開かれてスクアーロの声が響き渡り、マーモンはパッと顔を向けて避難するかのようにスクアーロへと近寄った。

「おはよ、スクアーロ」

「お"ぅ」

マーモンが声を掛けるとスッと手を伸ばされフード越しに頭を撫でられ、思わず頬を緩ませてしまいそうになる。

「んで、朝からなにしてんだ?」

「今からベルとジャッポーネ行ってくるから、声かけに来ただけ」

「ジャッポーネだぁ?またずいぶんと急だな」

「ベルがホ…んむぐ」

言葉を続けようとすると、不意に背後から口元を手で覆われて続きが離せなくなってしまった。
マーモンが後ろに顔を向けると、そこにはベルがいて、彼の仕業だと察した。

「ぷは、ちょっと、ベル」

「ゔぉい、邪魔すんなベル
今マーモンと話ししてんだろが」

「マーモン、早く行かねぇと王子明日の任務に間に合わなくなっちゃう」

「ムム」

後ろから抱きつかれ、重さを感じながらスマホを見ると、そろそろ出ないと間に合わない時間だと分かり、スクアーロを見上げた。

「それじゃ、僕達は行くよ
ベルがもう少し早く言ってくれれば、こんなに急がずに済んだのに」

「仕方ねぇじゃん?お前昨日いなかったし」

「スマホあるんだから連絡とりようあるでしょ」

「ほらほら、早くレッツゴー」

「あ"!おいまだ話は終わって」
 
急かすようにベルに背中を押されて扉へと連れて行かれるも、背後から聞こえてくるスクアーロの声。
その声に返答しようと身体を向けようとしたが、その前にベルがくるりとスクアーロへと身体を向けた。

「うっしし、スクアーロ」

「なん」










「マーモン、明日までに返せなくても恨むなよ?」










「…明日?明日ってなにか」

「ほんじゃ、ばいびーッ」

「ちょ、ちょっとベル」

スクアーロの返事を待たずに、ベルに押されて談話室から出てしまう。
マーモンはベルへと身体を向けると首を傾げた。

「ねぇ、ベル
明日までにって…明日なにかあるのかい?」

自分の中では、特にそういったイベントはないはず。

「…んー…ししッ」

マーモンの反応にきょとんとした表情を浮かべ、少し考える素振りを見せるベルだったが、すぐにいつものはにかんだ笑みを見せ、スッとマーモンの横を横切った。

「ちょっと、ベル
僕の話聞いてる?」

「聞いてる聞いてる、ちゃーんと聞いてる」

「なら」

「あとで話してやるからさ、マーモン」

ベルは数歩先を歩くと歩みをとめて、くるりとマーモンへと身体を向ける。











「早く行かねぇと、まじで王子間に合わなくなるからさ
行ってからにしようぜ?」

「…君が急に言い出すからこうなってるんだからね…まったく」











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