いつから抱いた恋心


「なんだぁ、お前もシャワー浴びて来たのかぁ?」

シャワーを浴び終え、タオルで髪の毛を軽く拭きながら部屋の中へと戻ると、先ほどまでの服装とは違い寝巻きに着替えているマーモンが視界に入り声をかけた。

「まぁね、僕も今日は任務だったし
報告書出しに来たら君まだ帰ってなかったからさっきはそのまま居座り続けてたんだよ
報告書はデスクに置いてあるから明日確認よろしく…ふぁ」

小さく欠伸をしながらデスクを指差すマーモンに"わかったぁ"と声を掛けると、マーモンが座っているソファーの隣へとドカッと腰掛ける。

「ねみぃなら先にベット行ってろ、俺はあと少しやることあんだぁ」

「やることって?書類は僕がやっといたから他にやる事無いだろう?」

「あ"?そりゃ…」

「なら別にいいじゃないか
それに、僕は君がいないと眠れないんだから早く来てよ」

口ごもっているスクアーロを他所にマーモンは立ち上がると寝室へと歩いて行き、扉を開けて入っていった。
スクアーロはその背中を見送ると、同様に立ち上がりデスクに置かれた報告書に目を通した。

そうだ、マーモンの奴が毎夜俺の部屋に来るのは…。










俺と一緒に寝るためだ。










「…あとは明日にするかぁ」

軽く目を通し終えた書類をデスクに戻し、スクアーロは寝室へと入ると、マーモンがベットへと横たわっていた。
スクアーロがベットに腰掛けると、マーモンは眠たそうにうとうととしており顔を向け"早く"と言いたげにポンポンッと隣を叩き出す。
指示されるがままスクアーロは横たわると、体を向けてスクアーロの心臓部に顔をピタリとくっつけてマーモンは瞳を閉じた。
その様子を眺めながらスクアーロはマーモンの背中へと手を伸ばすとポンポンと一定のリズムであやすように優しく叩き出す。

…入院している時に、マーモンが俺の鼓動聞いて熟睡した時があった。
その日はしばらく睡眠がとれていなかったせいか丸1日眠って起きたのは翌々日の朝。
あまりにも眠り過ぎていてルッスーリアは心配していたし、ベルは起きた瞬間いつの間にか撮っていた写真をマーモンに見せて弄りだしていた。
(次の瞬間、マーモンが切れてベルと乱闘になり、騒がしさにボスが切れたのは言うまでもねぇ)
その日以降、マーモンは俺が夜寝ていると勝手にベットに侵入してきて寝るように。
マーモンが言うに俺の心臓の鼓動を聞きながらではないと眠れなくなったと。
同じアルコバレーノに頼んで睡眠薬を作ってもらったらしいがそれよりも俺と寝る方が効くらしく、マーモンが落ち着くまではしばらく眠ることになった。
それは、俺が心臓移植をしてからも変わらずなわけで…。

「…う"ぉぉい、マーモンよぉ」

「…む…なんだい…?」

眠りかけていたのかマーモンは眠たげな声色で瞳を閉じたまま返事をする。

「お前、そろそろ一人で寝たらどうだぁ?
俺の心臓移植して結構経つだろがぁ、いつまでもこの状態ってのもよぉ」

「…む…ん…そうだね…うん」

「…聞いてんのかぁ?」

「ん…聞いてる…君の声はでかくて、うるさいんだけど…心臓の音心地良くて…ふぁ…」

「貶すのか褒めるのかどっちかにしろぉ」

「君は、僕と寝るの…嫌なのかい?」

うっすらと瞳を開けながら見上げてくるマーモンを見て、スクアーロはピタリと少し動きを止めた後、マーモンの頭に自分の顎を乗せる。

「そういう意味じゃねぇ」

「…ならなにも問題はないじゃないか…もういいだろう…?」

「あぁ、さっさと寝ろ」

「起こしたのは…きみの、くせ…に…」

そこまで言うとマーモンは眠ってしまったらしく、寝息が聞こえてくる。
スクアーロはソッとマーモンの顔を覗き込み眠っているのを確認すると小さく息を吐いた。










…ったくよぉ…。










「人の気も知らねぇでいい気なこった…」










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