甘さに勝る、ものはなく
「マーモンッ」
「ム?」
自分の部屋の扉が勝手に開かれ、いつも聞き慣れたベルの声が聞こえてくる。
マーモンはソファーに横にしていた身体を起こしながら扉の方へと目をやると、ちょうとベルの姿が視界に入り、自分の姿を見てかベルがいつもの表情ではにかんた。
「マーモンってさ、今日って任務ねぇよな?」
「任務…ちょっと待って、確認する」
唐突な質問にテーブルに置いていたスマホへと手を伸ばし、スケジュールを確認してみる。
すると、ちょうど今日から3日間任務が入っていなかった。
「…うん、今日は任務ないよ
それに、他には用事も入ってないし」
「んじゃ、ちょっと王子に付き合えよ
この前のバレンタインの仕返ししてやるから」
「バレンタイン…あぁ…そういうことか」
最初、ベルの言葉の意味が分からずに小首を傾げるも、ふと視界に入ったカレンダーを見てマーモンは悟ったように声を漏らす。
今日の日付は3/12。ホワイトデーの2日前。
「仕返しっていう言葉が引っかかるけど、お返しくれるならありがたくいただくよ」
「お前にはお返しじゃなくて、仕返しでじゅーぶん」
「…」
まったくもって、意味がわからない。
「…でも、なんで今日なんだい?
ホワイトデーまで、まだ2日もあるじゃないか」
「んー」
カレンダーを見ながら問いかけると、ベルはマーモンの隣へと勢いよく座った。
「ちょっと、危ない」
「王子、明日から2日間張り込み任務あんの
だから、今日仕返しよーって」
「あぁ、なるほどね…張り込みだなんて、君には向いてない任務だね」
「だろ?」
「ならいいよ、その仕返し受け取ってあげる」
"んー"と軽く伸びをした後、マーモンはピョンッと立ち上がりベルを見下ろす。
すると、ベルは嬉しそうにはにかみながら同様に立ち上がった。
「うししッ、そんじゃ今からしゅっぱーつ」
「ちなみにどこに行くんだい?」
「ジャッポーネ」
「ジャ…なんて?」
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